最新記事
ウクライナ戦争

黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

Ukraine's Drones Attack Russia's Only Large Black Sea Oil Refinery

2024年5月22日(水)18時05分
イザベル・バンブルーゲン
トゥアプセにあるロシアの石油大手ロスネフチの製油所

トゥアプセにあるロシアの石油大手ロスネフチの製油所(2021年8月) Vladfotograf-Shutterstock

<黒海沿いのノヴォロシースク、クリミア半島のセヴァストポリにあるロシアの軍港も空からの大規模攻撃の標的に>

ウクライナの無人機(ドローン)が5月17日午前、黒海沿岸では唯一のロシアの大規模製油所を攻撃した、と当局者が話した。

【動画】黒煙と激しい火柱が...ウクライナのドローンが黒海沿岸のロシア製油所に突っ込む劇的瞬間

攻撃を受けたのは、ロシア南部の都市トゥアプセにあるロシア石油大手ロスネフチの製油所だ。攻撃を報告した地元当局者は、製油所で炎があがり、消防隊が消火にあたっていると話した。

黒海のノヴォロシースクとクリミア半島のセヴァストポリにあるロシアの軍港も、空からの大規模な攻撃の標的になった。ロシア国防省によれば、攻撃には少なくとも100機のドローンが関わっていたという。

ウクライナは2024年に入って以来、ロシアの製油所への攻撃を増やしている。ガソリン生産を妨げることが狙いだ。開戦からこれまでに、ロシアの製油所に対して実施され、成功した攻撃はロシア最大規模の製油所を標的にしたものも含め、少なくとも13回にのぼるとウクライナは述べている。

1929年に建造されたトゥアプセの製油所はロシアの黒海沿岸に位置し、ロシア屈指の歴史ある製油所だ。中国、トルコ、マレーシア、シンガポールなどの国に燃料を供給している。

テレグラムチャンネルの「ショット(Shot)」は、トゥアプセで空襲警報サイレンが鳴り響いたと伝えている。

ロシア治安機関とつながりがあるとされるロシアのテレグラムチャンネル「バザ(Baza)」によれば、今回の夜間攻撃では、他の3つの製油所もドローンの残骸によって損傷を受けたという。

クラスノダール地方のヴェニアミン・コンドラチェフ知事はテレグラム上で、ウクライナが夜間にノヴォロシースクの「民間施設の攻撃を試みたが成功しなかった」と述べた。

コンドラチェフは、防空システムによって10機を超えるドローンを迎撃したが、落下した破片から火の手があがったと述べ、犠牲者はいないと付け加えた。

「ノヴォローシスクの住民には、冷静さを保ち、わが軍の防空システムの写真や動画をソーシャルネットワーク上に投稿しないようお願いする」とコンドラチェフは書いている。

「セヴァストポリ特別市知事」を名乗る親ロシア派幹部のミハイル・ラズボジャエフは、港湾都市であるセヴァストポリに対してウクライナが攻撃を試みたと報告した。ラズヴォジャエフによれば、ドローンの破片によって変電所が損傷を受け、同市の一部が停電したという。

報告された攻撃についてウクライナ側はコメントしていない。本誌は電子メールでウクライナ政府当局に連絡をとり、コメントを求めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏支持率41%に上昇、共和党員が生活費対応

ビジネス

イタリア、中銀の独立性に影響なしとECBに説明へ 

ワールド

ジャカルタの7階建てビルで火災、20人死亡 日系企

ワールド

韓国国民年金、新たなドル調達手段を検討 ドル建て債
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 9
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 10
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中