最新記事
途上国のDXと生成AI

「世界のモバイル決済額の7割がサブサハラ」アフリカでDXが進みやすい3つの理由...日本にも恩恵?

2024年3月6日(水)16時00分
※JICAトピックスより転載

世良 ただ、今後のことを考えるとDXを進めたほうがいいのですか?

深津 実はそうなんです。インフラは数十年も経つと作り直さないといけないので。

世良 アフリカはどうしてDXが進みやすいのでしょうか?

jica_dxai_sera.jpg

ケニアを訪れた時、自分もモバイルマネーを使ったと話す世良マリカさん。2002年神奈川県生まれ。19年に芸能界入りし、モデル、タレントとして活動。史上最年少16歳で「ミス・ワールド2019日本代表」になる。慶應義塾大学総合政策学部に在籍している。

宮田 大きくは3つです。1つは圧倒的に平均年齢が若いこと。アフリカの平均年齢は21.5歳※2で、やはり若い世代の方がデジタルを取り込みやすいと思います。2つ目は代替サービスがないこと。とにかく不便なので、「何とかしたい」という強いニーズがあります。3つ目は規制が少ないこと。日本だと行政の許可を取るのに時間がかかりますが、アフリカでは法整備がまだできていない部分もあり、どんどん試せます。

※2 CIA World Factbookによる。

深津 アフリカの土地が広いことも関係しているかもしれません。広い土地に道路や水道を引くのは大変ですが、極論、ITは電波塔さえ立てば、それほどコストをかけずにサービスを一気に展開できます。

世良 JICAはアフリカのDXを支援していますが、アフリカで得た知見が今後は逆に日本で生かされることはあるのでしょうか。

宮田 はい。JICAでは日本のサービスの実証実験をアフリカで行う支援をしています。例えば、以前からソフトバンクが開発している成層圏通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」の研究をサポートしており、ソフトバンクが2023年9月に世界初の5G実証実験をルワンダで行いました。HAPSは成層圏に通信アンテナを飛ばすことで、これまでは携帯の電波が届かなかった地域にも電波を届けられます。実現すれば、デジタル・デバイド(ITの恩恵を受けられない人)の課題解決に役立ちます。

また、日本から世界に届ける支援もしています。香川県高松市にあるメロディ・インターナショナル株式会社は、医療過疎地の多い瀬戸内海の遠隔医療に取り組んでいます。特に通院が大変な妊婦の方に向け、遠隔で赤ちゃんの健康状態が確認できる遠隔診察のソリューションを開発しました。その後に世界で使えるサービスを開発し、現在は11カ国に展開しています。日本にある身近な課題をグローバルな視点で捉え直すと、大きなインパクトを出せます。これはアフリカのDXを考えるとき、重要なポイントです。JICAは世界各国に事務所がありますので、現地の方々と一緒に課題解決に取り組んでいきたいと考えています。

jica_dxai_haps.jpg

HAPSのイメージ図(ソフトバンク提供)

jica_dxai_ictg.jpg

遠隔でも赤ちゃんの健康状態が確認できる「分娩監視装置iCTG」(メロディ・インターナショナル株式会社提供)

途上国における生成AIのメリット・デメリットとは

世良 今はChatGPTなどの生成AIも普及してきていますね。こうした生成AIは途上国にとってはどういったメリット、デメリットがあるのでしょうか?

深津 アフリカの場合は、メリットのほうが大きいと思います。まず、ChatGPTのような言語AIは人間の言葉で機械に命令を出し、いろんな指示をしたり、情報を集めたりできるので、コスト問題を解決できます。例えば、日本やアメリカで教育を受けたスタッフをアフリカに送り、仕事をしてもらうとなるとコストがかかり、雇える人数にも限界があります。しかし、ChatGPTなら専門知識をカスタマイズして教え込むことで、月額20ドルほどで多言語にも対応でき、多くの高度な作業ができます。また、生成AIで高度な情報収集ができ、アクセスできる情報量、情報の質が大きく広がると感じています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:インド「高級水」市場が急成長、富裕層にブ

ワールド

トランプ米大統領、自身のSNSに投稿された人種差別

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、リスク資産反発受け 円は衆

ワールド

トランプ氏、インドへの25%追加関税撤廃 ロ産石油
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国ダークツーリズムが変わる 日本統治時代から「南…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    鉱物資源の安定供給を守るために必要なことは「中国…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中