最新記事
ロシア軍

<ロシア軍>指揮官は「ネズミのように逃げ出し」、戦闘を拒んだ兵士たちは捕らえられた

Russia soldiers refused to fight after commanders "fled like rats"

2023年9月21日(木)15時22分
イザベル・ファン・ブリューゲン

退却すれば殺すと脅されて逃げたロシア兵たち Guardian News/YouTube

<指揮官が逃げ出し、戦闘を拒否したロシア兵は捕らえられ、地下室で身柄を拘束され、連絡が途絶えている>

動員ロシア兵100人超の「反乱」発生...報酬の不払いに不満を爆発させる様子が動画に

ウクライナで戦うロシア軍の指揮官らが前線から「ネズミのように逃げ出し」、配下の兵士たちは戦うことを拒否したという情報が報じられた。

ロシアの独立系ジャーナリストによるテレグラムチャンネル「アストラ」によると、9月19日、所属ジャーナリストの元にエフゲーニャという女性が接触してきた。彼女の夫はロシア軍の兵士としてウクライナで戦う「エフゲニーP」で、所属部隊の指揮官から負傷した仲間と共にウクライナ東部の戦闘に参加するよう命じられたが、当の指揮官らはウクライナからの激しい砲撃を受けると部隊を見捨てて逃げ出したという。

「アストラ」によれば、エフゲニーPはロシア軍の第27独立自動車化狙撃旅団に所属し、5月にウクライナ東部ドネツク州バフムト近郊での戦闘の際に砲弾の破片で負傷し、病院に搬送されたものの治療は施されなかった。彼はその後、「リハビリ」のために帰還させられ1カ月を自宅で過ごした後、再びウクライナの戦地に派遣された。

同旅団の兵士たちは、ウクライナ東部「スバトベの方角」に連れて行かれ、「生活に最低限必要な物資も手段もないまま森の中に置き去りにされた」。そしてウクライナ側からの攻撃の標的にされると、「指揮官や将官など、責任ある立場にある者は部下を見捨ててネズミのように逃げ出した」という。

「指揮官の敵前逃亡」は初めてではない

置き去りにされて戦闘を拒否したエフゲニーPら複数の兵士は、指揮官に捕らえられ、ウクライナ東部ドンバス地域のザイツェボにある建物の地下で身柄を拘束された。

「アストラ」のテレグラムチャンネルは以前にも、ロシア軍に動員された兵士300人が、前線に戻ることを拒んだという理由で、ザイツェボの地下室で身柄を拘束されていると報じたことがある。

エフゲニーPは9月18日に妻エフゲーニャに自らの苦境について連絡してきたが、その後、連絡がつかなくなったという。

本誌はエフゲーニャの主張について独自に裏付けを取ることはできず、この件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

ロシア軍の指揮官がウクライナの戦場から逃げ出したことが報じられたのは、今回が初めてではない。

2022年11月には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が発令した部分動員令によって徴兵された別の兵士が、ロシア軍の上官が戦闘から逃げ出したと主張した。

この告発を行った兵士オレクシー・アガフォノフはロシアの反体制メディア「Verstka」に対して、ウクライナ東部ルハンスク州のマキイフカ近郊で、ウクライナ側から砲撃を受けたと証言。自身が所属する大隊は2022年11月2日、塹壕を掘って防衛陣地を守るよう命令を受けたが、ウクライナ軍による砲撃が始まると、指揮官は兵士たちを見捨てて逃げ出したと語った。

座談会
「アフリカでビジネスをする」の理想と現実...国際協力銀行(JBIC)若手職員が語る体験談
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

オラクル、TikTok米事業継続関与へ 企業連合に

ビジネス

7月第3次産業活動指数は2カ月ぶり上昇、基調判断据

ビジネス

テザー、米居住者向けステーブルコイン「USAT」を

ワールド

焦点:北極圏に送られたロシア活動家、戦争による人手
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中