最新記事
北朝鮮

1万ページの「読書キャンペーン」が始まる・北朝鮮

North Koreans Forced To Read 10,000 Pages Of Propaganda This Year To Foster Loyalty

2023年5月23日(火)10時58分
ケント・メイジング
北朝鮮

平壌の地下鉄のエスカレーターで本を読む女性(2015年) Damir Sagolj-REUTERS

<金正恩を称賛する1万ページにも及ぶ本を読み、読書日記を義務付ける「読書キャンペーン」は、ドラマや映画、音楽など韓国カルチャーが北朝鮮に広まっていることへの「大反省会」>

国家と金正恩総書記に対する忠誠心を育むため、「読書キャンペーン」を北朝鮮が始めたことをRFA(ラジオ・フリー・アジア)が報じた。

1万ページにおよぶプロパガンダ資料を「読書キャンペーン」と称して強制的に読ませる背景には、韓国が制作した映画やテレビ番組、音楽がメモリースティックなどの機器を通じて、韓国から密輸されており、その「反動的」な韓国の大衆文化への危惧だという。

首都・平壌の北に位置する平安南道の工場労働者らは、金正恩の演説や党総会の記録などの資料を読むように命じられており、「毎日、読んだ内容を書き留め、年末に党組織に提出しなければならない」と、匿名の関係者が証言している。

「韓国映画を見るのと同じくらい[このプロパガンダ]本を読むのが面白かったら、みんな一晩中でも読むんじゃないですか?」と、工場労働者らは「我が国の偉大な指導者が最高である」というプロパガンダに不満を漏らしているという。

平安北道でも「朝鮮社会主義女性同盟」のメンバーらが、金正恩とその父・金正日時代の出版物や社会主義的メッセージが込められた小説を読むよう命じられたという。

少なくとも毎日30ページを読んで重要な考え方や思いを要約し、読書日記を書くことを課す「読書キャンペーン」は、政治的かつイデオロギー的にも「精神的な栄養を蓄える」ことが目的だという。

しかし、「反動的な思想を根絶する」ことを目的としているにもかかわらず、金一族を称賛する書物のみを1万ページも読む必要性について疑問の声も上がっている。

ロイター通信が国営朝鮮中央通信の話として報じたところによると、北朝鮮は昨年も「読書キャンペーン」を実施している。

「最悪の困難」に直面しながら北朝鮮の自立イデオロギーをさらに前進させるためには読書キャンペーンが必要だとし、思想的、道徳的強さこそが最大の武器であるとした。

ちなみにこの北朝鮮の読書運動の起源は、金正恩総書記の父・故金正日総書記が1960年代に金日成総合大学で始めた「1万ページ読書運動」に遡る。

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

メルツ独首相、中銀への政治的圧力を懸念 「独立性が

ワールド

トランプ政権の駐ベトナム大使が交代へ、対米黒字縮小

ワールド

日韓首脳、高市氏の地元・奈良で会談 李大統領「中日

ワールド

韓国、年初の外平債発行検討 外貨準備増強=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中