最新記事
ウクライナ支援

F16供与への布石?ウクライナ軍パイロットがアメリカで戦闘機の訓練開始

Ukrainian Pilots Are in U.S. Training on F-16s

2023年3月6日(月)18時03分
エリー・クック

「この訓練はアメリカが今後数カ月間に(F16の)供与を認める可能性が高いことを示している。そのために前もって打った布石だ」と、元英陸軍士官のフランク・レドウィッジは本誌に述べた。

レドウィッジは、ウクライナにF16の供与を行うかどうかの決定はいずれ行われるとの見方を示すとともに、実際にはパイロットだけでなく地上管制スタッフの訓練も必要になるだろうと述べた。

だが米国防総省のコリン・カール次官(政策担当)は2月28日、まだアメリカも他の国もF16の供与を決めたわけではないとし、「絶対に手にすることがないかも知れないシステムの訓練を(ウクライナ軍兵士に対して)始める」としたら「それは理にかなわない」話だと、暗にF6供与に向けた実践訓練であることを否定した。

下院軍事委員会に対しカールは、ウクライナは最終的に、スウェーデン製のグリペン戦闘機や英空軍のトーネード戦闘攻撃機を運用することになるかも知れないと述べた。つまり、F16の訓練は大して役に立たない可能性があるというわけだ。

また、新型のF16を「新規生産」してウクライナに供与するとすれば、3~6年間かかるだろうと彼は述べた。

「今はまだ考えていない」とバイデンは言うが

F16をウクライナに供与し、訓練を行うとした場合、「最も早くて」約18カ月後になるとカールは述べた。

カールはまた、ウクライナが既存の戦闘機を置き換えるためには、長期的に50~80機程度の第4世代戦闘機が必要になるだろうとの米空軍の見方を伝えた。

第4世代戦闘機はかなり先進的な機体ではあるが、最新型の第5世代とは違い、ステルス機能を備えていたとしても限定的なものだ。

ロシアによるウクライナ侵攻が開始からちょうど1年の2月下旬に受けたインタビューで、ジョー・バイデン米大統領はF16の供与の可能性を再度、否定した。

「当面は考えていない」とバイデンはABCニュースに対し述べた。



channel="newsweekjapan"
video="vGVyGD"
max_videos="1"
autoplay="true"
>

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中