最新記事

ツイッター

フォロワーが1日で100倍に増える注目のなか、私はマスクに嫌われ、ツイッターをクビになった

'Elon Musk Fired Me in a Tweet'

2022年12月5日(月)16時26分
エリック・フロンへーファー(ソフトウエアエンジニア)

自分の働き口については心配していなかったが、自分と自分がやってきた製品の今後はやはり不安だった。次に何が起こるか分かっている人は誰もいないようだった。

11月13日の午後。私はイーロンが、ツイッターの遅さについて謝っているツイートを見かけた。アプリが遅いのは、1200回もの遠隔手続き呼び出し(RPC)をやっているせいだと彼は主張した。

確かにツイッターはスピードに大きな問題を抱えていたが、原因は全く別のところにある。バックエンドのサービスは通常、通信にRPCを使っているが、これはデータセンター内の非常に高速なネットワークリンクを介して行われる。マスクはいろんな不正確なことをごちゃまぜにしてツイートしているように思えた。まるで意味不明だと私は思った。

マスクが言っていることは間違っていると思った私は、その旨をツイートした。マスクのツイートを引用して「私はアンドロイド用のツイッターアプリに6年携わっているが、これは間違っていると明言できる」と書いたのだ。

深い考えがあったわけではない。私のフォロワーは当時600人ほどで、ほとんどがツイッターの従業員だった。スターバックスに行って戻ってきたら、同僚からメッセージが届いていた。「エリック、『彼』から返信が来てる」

対話の場はツイッター上にしかなかった

「くそっ」と思った。彼には1億2000万人近いツイッターフォロワーがいる。彼への返信ならともかく、引用ツイートまで見るとは思ってもみなかった。

彼は私に、アンドロイド上のツイッターの遅さを解消するためにこれまで何をやってきたのかと問いただしてきた。私はそれに対し、プロフェッショナルで適切な態度で返答したつもりだ。私が認識しているアプリ上の問題について概説し、RPCが原因ではないと思った理由を説明した。

「なぜ公の場であんなことを言った」とみんなに聞かれたが、マスクからのコミュニケーションはすべてツイッター上で行われていた。対話の場所はここしかなかったのだ。

ツイッターで知った解雇

その日のうちに、私は6万人近いフォロワーを獲得した。マスクのフォロワーの1人がツイッターの社員は無料で400ドルのランチを食べている、というようなことを言ったので、私は嫌味ったらしくこうつぶやいた。「100%の価値あり。料理は最高だった。あのゴーストペッパーマヨはすごくおいしかった」

その後、同じスレッドでマスクは私についてこう言った。「彼はクビだ」。その後、マスクはそのツイートを削除した。

私はマスクのツイッターをフォローしていないし、あまりにも多くの通知が来て、すべての内容を把握するのは困難だった。別の同僚が私にメッセージで「エリック、まだオンライン?」と聞いてきた。まだ仕事中だと答えたら、マスクのツイートのことを教えてくれた。私はそこで初めて、自分が失業したことを知った。その数時間後には、サーバーにアクセスできなくなった。ツイッターにおける私の仕事は、そんなふうに終わりを告げた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英外相がシリア訪問、人道援助や復興へ9450万ポン

ワールド

ガザで米国人援助スタッフ2人負傷、米政府がハマス非

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師、攻撃後初めて公の場に 

ワールド

ダライ・ラマ「130歳以上生きたい」、90歳誕生日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中