最新記事

動物

ウクライナから盗んだアライグマがロシア空挺部隊の士気をよみがえらせた!

Russia says raccoon stolen from Ukraine is raising morale—"he motivates us"

2022年11月24日(木)16時03分
ブレンダン・コール

ロシア兵の背嚢に入ったアライグマ「ヘルソン」 Francis Scarr/Twitter

<兵士たちの心を和ませ、意欲を駆り立ててくれる存在として可愛がられているという>

ロシア軍がウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市からの撤退を余儀なくされたことは、ロシア国営メディアでも重苦しく暗いニュースとして報じられているようだ。だがそんな中、ヘルソンの動物園にいた1匹のアライグマが、兵士たちの士気を高めるのに役立っているという。

国営テレビ「ロシア1」は、ロシア中部コストロマ州の州都コストロマからの放送枠の中で、このアライグマが空挺部隊の兵士たちの心を和ませ、彼らの意欲を駆り立てていると伝えた。

【動画】ウクライナのアライグマがロシア精鋭部隊のハートを鷲掴みに

番組の司会者は、オンライン投票の結果、アライグマには「ヘルソン」という名前がつけられたと紹介。2週間前にロシア軍がヘルソン市から撤退した際に、同市内の動物園からほかの動物たちと共に「避難」させたものだと説明し、この「小さな戦士」は「今まさに最高の時」を迎えていると述べた(実際は「避難」ではなく「盗んだ」)。

空挺部隊のある兵士(匿名)は、「ヘルソン」は今や部隊の一員だと述べた。毎日魚やナッツ、ぶどうなどの餌を食べさせ、ロシア兵の標準装備であるテルニャシュカ(青と白の縞模様の長袖シャツ)も与えたという。番組は、「ヘルソン」のいたずらが空挺部隊の兵士たちに「笑顔や優しい気持ち」をもたらしているとも伝えた。

「盗んだ奴らは死んでしまえ」

前述の兵士はまた、ロシア軍は屈辱的な撤退を経験したが「彼(アライグマのヘルソン)が私たちの士気を高め、さらなる勝利を勝ち取ろうと駆り立ててくれる」と述べた。「このアライグマは今や、私たちの部隊のマスコットだ」

世界のメディアに関する情報を収集・公表している英BBCモニタリング部門のフランシス・スカーは、番組の動画をツイッターで共有。「ロシア1のコストロマからの地方ニュース枠で放送された、ヘルソン市の動物園から『避難させた(盗んだ)』アライグマについてのリポートだ」

各種メディアは11月に入ってから、ロシア軍がヘルソン市から撤退する際に、現地の動物園からアライグマやその他の動物を盗んでいく様子を捉えた動画を紹介していた。ウクライナ国防省は、これらの動物は「戦利品」として略奪されたものだと述べ、ほかにも絵画や骨とう品、歴史ある書物などが略奪されたとした上で、次のようにつけ加えた。「アライグマを盗んだ奴らは死んでしまえ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中