最新記事

AI兵器

「AIが人間をロックし正確に狙う機関銃...」イスラエルが開発、パレスチナ難民キャンプに配備した

2022年10月21日(金)18時30分
青葉やまと

「兵士にとっては苦もなく、勝手に発砲する......」ヨルダン川西岸のパレスチナ難民キャンプにAI制御の機関銃が配備された [@Belalmd12/Twitter]

<兵士の疲れや震えによる誤差を修正し、ターゲットを正確に撃ち抜くAI銃が試験配備。開発企業は、かえって人命を守ると強調するが......>

緊張高まるイスラエルのヨルダン川西岸地区に、AIが照準をコントロールする銃が配備された。人間が引き金を引いてターゲットをロックすると、AIが自動で照準を補正し、目標を正確に狙撃する。

設置されたのはヨルダン川西岸のパレスチナ難民キャンプで、キャンプを見下ろす監視塔の上に2丁が配備されている。難民キャンプで暮らす19歳の青年は、ユーロニュースに対してこう語る。

「兵士にとっては苦もなく、勝手に発砲する。彼(イスラエル兵)が小さな子供を見つけたら、ボタンか何かを押すだけで勝手に火を吹くんだ」

>>■■【動画】AIが人間をロックし正確に狙う銃 イスラエルが開発■■

兵士より素早い射撃に恐怖

AI銃は現在はテスト配備中であり、実弾でなく催涙弾が装填されている。だが、キャンプの住民たちにとっては恐怖の対象だ。青年はまた、ユーロニュースに対して次のように語っている。

「そして(発見から射撃までは)恐ろしく速く、兵士(が射撃する)よりもさらに速い......。発射された催涙弾はキャンプの向こう側の端まで届く。何度も見たし動画も撮影した」

人々を恐怖させているAI銃は、正式にはスマート・シューターと呼ばれている。射撃前にターゲットをロックしておくことで、AIがターゲットを追跡し、狙った獲物を撃ち抜くしくみだ。

開発したスマート・シューター社のミカエル・モーCEOは、かえって安全に役立つのだと強調する。

「テロリストは通常、大勢の市民が集う場所にいますが、我々は市民を傷つけるわけにはいきません」

スマート・シューターは、兵士の疲れや緊張、訓練不足などによるブレを吸収し、風の影響などを補正して照準を定めるという。

人混みに紛れたテロリストを正確にねらえるとの触れ込みだが、人権問題に取り組む活動家たちからは正反対の反応が寄せられている。AIが難民の命を奪う事態となれば、イスラエルが「人権問題の火薬樽」になるだろうと警鐘を鳴らす。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアはキューバ見捨てず、エネルギー問題支援継続へ

ワールド

3月の米国債入札、外国勢の需要減少 中東戦争が影響

ビジネス

中国、625億元の超長期特別国債発行 消費財買い替

ワールド

中国主席が台湾野党党首と会談、「海峡両岸は一つの家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 8
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中