最新記事

航空機

「旅客機にキーなんてない」現役パイロットがTikTokで明かす始動手順が話題に

2022年7月20日(水)17時10分
青葉やまと(Pen Onlineより転載)

ボーイング737のエンジン始動手順公開 @almostcaptainmorgan- TikTok

<ボーイング737の副操縦士を務める女性が6月、自身のTikTokチャンネルで、飛行機の始動方法を解説し話題に......>

私たちが空港で飛行機に乗る際には、厳格な保安検査を受けることになる。飛行機自体のセキュリティも相当に高いかと思いきや、意外にも大型旅客機は施錠できるしくみがないのだという。

ボーイング737の副操縦士を務める女性が6月、自身のTikTokチャンネルを通じ、飛行機の始動方法を解説した。アメリカのシカゴに住むモーガン(@almostcaptainmorgan)と名乗る投稿者によるもので、現在までに1200万再生を超える人気動画となっている。

操作手順自体も興味深いのだが、動画の概要欄には次のように記されている。「ボーイング737のエンジンをかけるのに、キーはいらない!」 これだけだと解釈によっては、キー自体は存在するが運用上置きっぱなしになっているようにも読み取れる。そこで視聴者が「キーは存在する?」と確認したところ、モーガンは「ノー!」と明言し、キー自体の存在を否定した。

近年の大型機では、キーなしが主流に

ボーイング737に限らず、近年の大型旅客機は一般的にキーを備えていないようだ。セキュリティ上、コックピットとキャビンを隔てるドアだけは、数字入力式のキーでロックされている。だが、外部につながるドアを施錠したり、エンジン始動にキーを求めたりするしくみは存在しない。

航空ニュースサイトの「シンプル・フライング」は2021年公開の記事において、こう説明している。「パイロットたちが空港で鍵の受け渡しを行うというアイデアは有用に思えますが、そうしたことは行われません。近代的なジェット機への入室と始動に、キーはまったく必要ないのです。」

「近代的な商用ジェットにはキーが付いていません。(外部との)扉にも鍵はかかりません。非常時にはグラウンド・スタッフが立ち入る必要があり、ロックできるようだと手順が複雑になってしまうのです。」

それでも盗まれる心配はない

機体がまるごと盗難に遭うのではないかと心配になってしまうが、同サイトによるとそのような懸念はほとんどないようだ。

「セキュリティが確保された空港内での運用となることから、そのような(キーを必要とする)設計にはなっていないのです。ゲートに留め置くときはドアに印やテープを付け、侵入者があった場合に検知できるようにしておくことがありますが、ロックはかかりません。」

ただし、セスナやプライベート・ジェットなどの個人所有機になると、空港敷地外の私有地に停めておく機会が想定される。このため小型機の場合は自動車と同じく、イグニッションにキーを必要とする設計になっていることが多いようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中