ドローンなど備品調達から洗濯まで 補給難のロシア軍を支える国境の町バルイキ
ロシア西部バルイキの町は、ウクライナ国境近辺における最新の戦況において、ロシア軍の重要な集結拠点になっている。写真はPlanet Labs PBCが公開した、バルイキの衛星写真。6日入手(2022年 ロイター/Planet Labs PBC)
ロシア西部バルイキの町は、ウクライナ国境近辺における最新の戦況において、ロシア軍の重要な集結拠点になっている。5月を通じて、上空をヘリコプターが飛び交い、道路では軍用車両が列をなし、この町の大規模な軍事基地では兵士らが戦闘に備えている。
バルイキでは、近郊に拠点を置く部隊で不足が生じた場合に備え、兵士の親族や一般市民が、ドローンや無線、赤外線照準器などを含む補給や装備を提供しようと働いている。ロイターでは6人のボランティア、3人の兵士に取材するとともに、ボランティアが作業の調整のために使っているソーシャルメディアのチャンネルも検証した。
ボランティアの1人、地元住民のオルガ・ルキナさんは、夫がロシア軍の偵察部隊で非戦闘要員として働いていると言う。ルキナさんがロイターに語ったところでは、一部の偵察部隊では特にドローンや暗視装置が不足しているほか、ウクライナで戦っている他の部隊は「食料やディーゼル燃料、身体・衣類を洗う場所が不足している」という。
英軍情報機関と米国防総省は、食料・燃料の補給や、部隊にとって不可欠な支援をめぐる問題のため、ロシアの作戦に遅延が見られるとの評価を公表している。ロシアはここ数週間でアゾフ海に面したマリウポリの港を確保し、ドンバス地域でも徐々に支配地域を拡大している。ただし西側諸国の政府によれば、ロシア軍は人員・装備の面で高い代償を払っており、当初の目標を達成できていないという。
米国防総省は4月の状況報告の中で、ロシア軍はバルイキ周辺で部隊再編を進め、北側から挟撃する形で、南部から近づく他のロシア軍部隊と合流し、東部ドンバス地域をウクライナの残りの部分から切り離そうと試みていると述べている。
西側諸国はロシアのウラジミール・プーチン大統領の狙いは電撃的な勝利だったと見ているが、現時点ではロシアは消耗戦に引きずり込まれており、ロシア軍部隊に多数の死者が出ている。英国防省によれば、侵攻開始から3カ月で、旧ソ連による9年に及ぶアフガニスタン侵攻と同程度のロシア軍兵士が死亡した可能性が高いという。
ロシア政府は今回のウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と称し、西側諸国からロシアを防衛するための戦いだと表現している。また、作戦は計画に沿って進んでおり、軍は戦闘に必要なものをすべて与えられていると述べている。ウクライナは、自国軍部隊にも大きな損失が出ているとして、政府はさまざまなニーズの中でも特に実戦部隊を支援するためのクラウドファンディングを立ち上げている。
部隊の流入
バルイキはベルゴロド州にあり、周囲にはトウモロコシ畑が広がる。ウクライナ国境まで最も近いところで約15キロの距離だ。ウクライナ第2の都市ハルキウのすぐ東、ロシアが親露派を後押しするドンバス地域の北という戦略的な立地にある。