最新記事

ウクライナ情勢

ドローンなど備品調達から洗濯まで 補給難のロシア軍を支える国境の町バルイキ

2022年6月12日(日)13時18分
ロシア軍の重要な集結拠点バルイキの衛星写真

ロシア西部バルイキの町は、ウクライナ国境近辺における最新の戦況において、ロシア軍の重要な集結拠点になっている。写真はPlanet Labs PBCが公開した、バルイキの衛星写真。6日入手(2022年 ロイター/Planet Labs PBC)

ロシア西部バルイキの町は、ウクライナ国境近辺における最新の戦況において、ロシア軍の重要な集結拠点になっている。5月を通じて、上空をヘリコプターが飛び交い、道路では軍用車両が列をなし、この町の大規模な軍事基地では兵士らが戦闘に備えている。

バルイキでは、近郊に拠点を置く部隊で不足が生じた場合に備え、兵士の親族や一般市民が、ドローンや無線、赤外線照準器などを含む補給や装備を提供しようと働いている。ロイターでは6人のボランティア、3人の兵士に取材するとともに、ボランティアが作業の調整のために使っているソーシャルメディアのチャンネルも検証した。

ボランティアの1人、地元住民のオルガ・ルキナさんは、夫がロシア軍の偵察部隊で非戦闘要員として働いていると言う。ルキナさんがロイターに語ったところでは、一部の偵察部隊では特にドローンや暗視装置が不足しているほか、ウクライナで戦っている他の部隊は「食料やディーゼル燃料、身体・衣類を洗う場所が不足している」という。

英軍情報機関と米国防総省は、食料・燃料の補給や、部隊にとって不可欠な支援をめぐる問題のため、ロシアの作戦に遅延が見られるとの評価を公表している。ロシアはここ数週間でアゾフ海に面したマリウポリの港を確保し、ドンバス地域でも徐々に支配地域を拡大している。ただし西側諸国の政府によれば、ロシア軍は人員・装備の面で高い代償を払っており、当初の目標を達成できていないという。

米国防総省は4月の状況報告の中で、ロシア軍はバルイキ周辺で部隊再編を進め、北側から挟撃する形で、南部から近づく他のロシア軍部隊と合流し、東部ドンバス地域をウクライナの残りの部分から切り離そうと試みていると述べている。

西側諸国はロシアのウラジミール・プーチン大統領の狙いは電撃的な勝利だったと見ているが、現時点ではロシアは消耗戦に引きずり込まれており、ロシア軍部隊に多数の死者が出ている。英国防省によれば、侵攻開始から3カ月で、旧ソ連による9年に及ぶアフガニスタン侵攻と同程度のロシア軍兵士が死亡した可能性が高いという。

ロシア政府は今回のウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と称し、西側諸国からロシアを防衛するための戦いだと表現している。また、作戦は計画に沿って進んでおり、軍は戦闘に必要なものをすべて与えられていると述べている。ウクライナは、自国軍部隊にも大きな損失が出ているとして、政府はさまざまなニーズの中でも特に実戦部隊を支援するためのクラウドファンディングを立ち上げている。

部隊の流入

バルイキはベルゴロド州にあり、周囲にはトウモロコシ畑が広がる。ウクライナ国境まで最も近いところで約15キロの距離だ。ウクライナ第2の都市ハルキウのすぐ東、ロシアが親露派を後押しするドンバス地域の北という戦略的な立地にある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-「安全の保証」巡り首脳レベルの協議望む=ウク

ビジネス

訂正米PCE価格、7月前年比+2.6% コアは5カ

ワールド

トランプ氏のFRB理事解任巡る審理開始、裁判所判断

ワールド

プーチン氏、トランプ氏欺くことに 露ウ会談約束しな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中