最新記事

サル痘

サル痘の流行は「ウクライナ支援国」のゲイばかりと、ロシア国営TVで嘲笑

Russian State TV Mocks Other Countries Suffering Monkeypox Outbreak

2022年5月27日(金)17時16分
イザベル・バン・ブリューゲン
ロシア国営テレビ

@JuliaDavisNews/Twitter

<事実に反するうえに差別的な発言をして笑い声をあげる出演者たち。ウクライナ支援国の厄災が愉快で仕方がない様子を見せる>

欧州や北米で「サル痘」の感染が拡大し、世界的に懸念が高まっている。そうしたなか、ロシア国営テレビで5月25日に放映された番組の司会者が、サル痘の感染が確認された国々をあざ笑う言動を見せた。さらに感染者の性的指向についてレッテルを貼るような発言もあった。

ウイルス性疾患であるサル痘は、すでにサル痘を風土病としない20カ国近くで報告されている。最初に発見されたのがサルだったことからその名がついた感染症で、濃厚接触で感染するが、たいていの場合は軽症で終わる。数週間前から、欧州を中心に100人を超える感染者が確認されており、さらに感染が疑われるケースも出てきている。

米リベラル系ニュースサイト「デイリー・ビースト」のコラムニスト、ジュリア・デイビスは5月26日、自身のツイッターに、ロシア国営テレビの番組動画を投稿した。そのなかで、司会者エフゲニー・ポポフとオルガ・スカビーバ、露下院(国家院)のアレクセイ・ジュラフリョフ議員が、サル痘の感染拡大が報じられている国々を嘲笑している。スカビーバは、感染者を出したのはウクライナを軍事支援している国々だと発言した。

このシーンで、まずポポフが「サル痘ね。感染して病気になった人はほぼ全員、非伝統的な性的指向の男だ」と発言。すると、スカビーバはこう続けた。「信じられないだろうけど、なんて偶然。いや、もしかしたら偶然じゃないのかもしれないけれど、サル痘に感染した同性愛者がいる国のほとんどは、ウクライナ政府に武器を提供している。ありがちなことですよね」。この動画は、すでに3万回以上も視聴されている。

@JuliaDavisNews/Twitter


WHO「サル痘は、ゲイの病気ではない」

世界保健機関(WHO)のヒト免疫不全ウイルス(HIV)・肝炎・性感染症専門アドバイザーを務めるアンディ・シールは5月23日の質疑応答で、「サル痘は、濃厚接触を通じて、誰もが感染する可能性がある」と強調した。

「たとえば同性間で性交渉を持つ男性でサル痘の感染例は見られるものの、サル痘はゲイの病気ではない。一部のソーシャルメディアでは、そうしたレッテルを貼ろうとする動きが起きているが、それは事実ではない」と、シールはQ&Aセッションで述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

中国、自動車下取りに補助金 需要喚起へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中