最新記事

ロシア

ついにロシア国営TV「わが軍は苦戦」、プロパガンダ信じた国民が受けた衝撃

Russian People Surprised to Find Out Ukraine War Not Going Well on State TV

2022年5月19日(木)12時01分
ブレンダン・コール
ロシア60ミニッツ

@francis_scarr/Twitter

<愛国心むき出しに戦果を強調してきた国営テレビで、「ロシア軍の状況は悪化する」との見通しを述べたことに視聴者やネット民から驚きの声>

これまでプーチン政権を擁護し続け、プロパガンダ的な情報を流してきたロシア国営テレビ「ロシア1」。そんなテレビ局の番組で、軍事アナリストがロシアによるウクライナ侵攻を厳しく批判する一幕があった。同局などによるプロパガンダを信じ、ロシア軍の強さと正しさを疑わなかったロシア語圏の視聴者たちからは、驚きの声が上がっている。

ソーシャルメディア上で話題になっているのは、軍事アナリストのミハイル・キョーダリョノクによる発言だ。「ロシア1」は通常、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻について愛国的なトーンで報道を行っているが、キョーダリョノクは同チャンネルの番組「60ミニッツ」の中で、ロシア軍の部隊がウクライナで直面している状況について、「愛国的」とは程遠い、厳しい指摘を行った。

防空司令官から軍事評論家に転身し、2020年には「祖国貢献勲章」を受賞したキョーダリョノクは、「事実上、全世界が我々に反対している」と、ロシアが国際社会で孤立していると主張。さらに、ロシア軍は士気の高いウクライナ軍を相手に、厳しい戦いに直面することになるだろうと述べた。

キョーダリョノクは、ウクライナ軍の士気が低下しつつあるという「誤った」報道を信じてはならないと主張。ウクライナ政府は、100万人を動員して、西側諸国から供与を受けた武器で武装させることができると述べ、ロシア軍にとっての状況は「率直に言って悪化するだろう」と指摘した。

司会者のプロパガンダ的主張を一蹴

番組司会者のオリガ・スカベエワ――ロシア政府の「最高プロパガンダ責任者」と呼ばれている人物――がこの指摘を受けて、「ウクライナ軍の部隊はプロではなく、さほど大きな脅威ではない」と反論したものの、キョーダリョノクはその主張を一蹴。ウクライナ軍が徴兵によって集められた兵士の集まりかどうかは大した問題ではないと述べ、重要なのは彼らが「最後の一人になるまで戦う」意思を持っていることだと述べた。

また彼は、フィンランドがNATOへの加盟申請を決定したことを受けて、ロシア政府が核の「脅しをちらつかせている」ことについても批判した。

ロシアの科学者で政治アナリストのアンドレイ・ピオントコフスキーは、キョーダリョノクの発言を受けて次のようにツイートした。「キョーダリョノクが、ロシア軍からの最初の降伏文書を運んできた」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中

ビジネス

円高につながる金融政策、「一つの選択肢」=赤沢経産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 3
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 4
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 10
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中