最新記事

アカデミー賞

平手打ちのウィル・スミスにオスカー受賞の資格はあるか?

2022年3月29日(火)17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

オスカーを獲得し、妻ジェイダと受賞パーティーに出席したスミス Danny Moloshok-REUTERS

<ウィル・スミスは「不当な侮辱」から妻を守ったのか、それとも輝かしいステージにおける暴力の敷居を下げたのか、アメリカはまだ自問自答の最中だ>

3月27日(現地時間)に開催された第94回アカデミー賞授賞式で起きた「事件」が、ネットを騒然とさせている。由緒ある授賞式のステージに上ってプレゼンターを殴るなどということが公然と行われた以上、暴力への敷居はこれまでよりずっと低くなる、スミスからオスカーを没収すべきだ、という声もあれば、アカデミー賞ではこんなことは今回が初めてではない、と言う人もいる。これまでの受賞者のなかにも、アカデミーの行動規範にふさわしくない人間は山ほどいた、というのだ。

その時、いったい何が起こったのか。米コメディアンのクリス・ロックは、長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターとして壇上に立ったあと、俳優ウィル・スミスの妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミスのヘアスタイルについてのジョークを飛ばした。すると、夫のウィル・スミスがステージに上っていき、ロックの顔を平手打ちにしてから自席に戻った。ピンケット・スミスは脱毛症を抱えており、そのためスキンヘッドにしていることを以前から公表していた。ロックはそれを見て、「ジェイダ、(デミ・ムーアが登場した)映画『G.I.ジェーン』の続編を楽しみにしているよ!」と言ったのだ。

その瞬間を5400万人以上の視聴者が目撃し、アメリカではすぐに生放送が一時中断されたが、日本ではそのまま放映された。そのノーカット映像を見ると、席に戻ったスミスがロックに向かって、「お前の汚い口で妻の名前を口に出すな」と叫ぶのが見える。

米映画芸術科学アカデミーはソーシャルメディアで、いかなる暴力も容認しないという内容の公式声明を発表した。

スミスはこの騒ぎのあと、映画『ドリームプラン(原題:King Richard)』で主演男優賞を受賞した。しかし、受賞が取り消される可能性もある。

「#MeToo」運動の真っ最中で女性に対する性的暴力が厳しく糾弾されていた2018年、アカデミーのドーン・ハドソン最高経営責任者(CEO)はアカデミー会員に向けて、次のような声明を発表していた。

「米映画芸術科学アカデミーは、調査を行うための組織ではないが、抗議が寄せられた場合には、公正できちんとしたプロセスを踏むことを保証する。このプロセスは、抗議内容を理事会で協議すべきか否かを決定するためのものだ。理事会は、会員資格に関するなんらかの措置をとる可能性がある」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

MSCI、仮想通貨保有企業の指数除外見送り 検討継

ビジネス

中国、銀行の不良債権一括処理プログラムを年末まで延

ビジネス

アングル:金利上昇局面の日本株、長期金利3.5%で

ビジネス

日経平均は反落、高値警戒感や日中関係悪化で利益確定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中