最新記事

ロシア政治

ショイグ国防相はどこに?戦争中にトップ不在の異常事態

Russian Defense Minister Sergei Shoigu Not Seen for 12 Days

2022年3月24日(木)16時58分
イワン・パーマー

異様に長いテーブルの端で、プーチンから核についての命令を受けたこの日からショイグ(右)は表舞台から姿を消した。奥のゲラシモフ軍参謀長もいないという説もある Sputnik/Aleksey Nikolskyi/Kremlin/REUTERS

<ロシア軍のウクライナ侵攻を統括指揮する立場にありながら、2週間近く公式の場に姿を現していない>

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は今どこにいるのか。

ロシア軍のウクライナ侵攻を統括指揮する立場にありながら、この2週間近く公式の場に姿を現していないと、ロシアの独立系メディアが指摘し、さまざまな憶測が飛び交っている。

ウラジーミル・プーチン大統領の側近中の側近であるショイグ(66)の不在を問題にしたのは、政府の腐敗などの調査報道を行ってきたロシアの独立系メディア「アギェンツトォバ」(ロシア語のエージェンシー)だ。ロシアのSNS「テレグラム」に長文の記事を投稿し、ショイグが3月11日に国営テレビに出演したのを最後に表舞台から姿を消したと伝えた。

ロシア政府の高官が匿名でアギェンツトォバの取材に応じ、ショイグは心臓病で体調が悪化しているのではないかと話したが、この情報については確認が取れなかったという。

ロシアの国営テレビ「第一チャンネル」は3月18日、ショイグが同日に行われたセレモニーで賞のプレゼンターを務めたと伝えたが、このニュースに使われた写真は国防省の公式サイトに3月11日にアップされたものだと、アギェンツトォバは指摘している。

クレムリンのPR担当なのに

ロシア政府の公式サイトには3月18日、プーチンが安全保障会議のメンバーとウクライナ情勢について話し合ったことを伝えるテキストが掲載され、そこにはショイグの名前がある。ショイグもその会議に出席したことになっているが、それを証明する画像や動画はない。

ロシア軍がウクライナ侵攻を開始した2月24日の3日後、ショイグはロシア軍のバレリー・ゲラシモフ参謀総長と共にプーチンに呼び出され、異様に長いテーブルに就いて、はるか遠くに座ったプーチンと話し合った。このときを最後に、ショイグがプーチンと一緒にいる姿を見た人はいないと、アギェンツトォバは伝えている。

国防省の公式サイトのショイグの活動履歴も、3月11日を最後に更新されていない。

ロシア軍はウクライナ侵攻を開始してから、予想外に強力なウクライナ側の抵抗に手こずっている。英国防省が今週発表した情報によると、ウクライナの他の地域では引き続き激しい戦闘が続いているが、北東から首都キエフに攻め込もうとしたロシア軍はウクライナ軍に前進を阻まれ、後退を余儀なくされたという。

アギェンツトォバが指摘しているように、ショイグは2012年に国防相に就任して以来、クレムリンのPR担当を自任。西側メディアにもたびたび登場して、ロシア政府の立場を主張し、国内外においてロシア軍と国防省のイメージアップに努めてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

東京株式市場・大引け=続落、5万円台維持 年末株価

ビジネス

〔マクロスコープ〕迫るタイムリミット? ソフトバン

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 演習2日

ワールド

オランダ企業年金が確定拠出型へ移行、長期債市場に重
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中