最新記事

ロシア

ロシアの新興財閥がプーチンの首に懸賞金「生死は不問」

'Wanted: Dead or Alive': Russian Tycoon Puts $1M Bounty on Putin's Head

2022年3月3日(木)16時39分
ジェイク・トーマス

今度は命を狙われる側に?(ロンドンのロシア大使館外に貼られたプーチンの絵) Toby Melville-REUTERS

<旧ソ連の共産主義体制の崩壊とともに台頭したオリガルヒ(新興財閥)が、プーチンを捕らえるか殺した者に賞金を出すと投稿>

ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の一人が、ウラジーミル・プーチン大統領の首に懸賞金をかけると表明した。ウクライナを侵攻した戦争犯罪で、プーチンを「生死を問わず」捕まえた軍当局者には、100万ドルを支払うとしている。

ソーシャルメディア上でこの懸賞金を提示したのは、起業家で元銀行家のアレックス・コナニキンだ。ロシアが隣国ウクライナに対する軍事侵攻を開始してから、まる1週間。西側諸国の政府や企業は、プーチンやロシアを支配するエリート層に対する、経済的な締めつけを強化する方法を模索してきた。ウクライナ侵攻に対する反発が高まり続けるなか、現在はアメリカを拠点とするコナニキンが提示した懸賞金は、プーチン個人を直接的な標的とするものだ。

コナニキンは3月1日に、フェイスブックにメッセージを投稿。「ロシアおよび国際法にのっとり、プーチンを戦争犯罪者として」捕らえた軍当局者に、100万ドルを支払うと約束した。

「ロシア民族として、そしてロシアの一市民として、ロシアの非ナチ化を促すことが自分の道徳的義務だと考えている」と、コナニキンは投稿の中で述べた。プーチンがウクライナ侵攻の口実として「非ナチ化」を挙げたことを逆手に取った発言だ。

コナニキンは、ウクライナの国旗と同じ黄色と青のTシャツ姿の写真をフェイスブックのプロフィール写真にしており、投稿の中で「ウクライナと、プーチンの軍による猛攻撃に抵抗する彼らの英雄的な奮闘に、今後も支援を提供していく」と述べた。

「大量殺人の罪で指名手配」と投稿も

イスラエルの英字紙エルサレム・ポストによれば、コナニキンはこれより前、ビジネス向けソーシャルメディア「リンクトイン」に、「大量殺人の罪でウラジーミル・プーチンを指名手配。生死は問わない」という言葉と共に、プーチンの写真を投稿していた。この投稿はその後、削除されたようだ。

ソ連崩壊後に財を成して注目される存在になったコナニキンは、投稿の中でプーチンについて「ロシアで複数のアパートを爆破し、さらに憲法違反を犯して自由な選挙をなくし、複数の政敵を殺すことで」大統領の座に就いたと主張した。プーチンが絶大な権力を握るきっかけになった1999年の高層アパート連続爆破事件がプーチンの自作自演と疑われているのは有名な話だ。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、2月25日に公表したビデオ演説の中で、ロシア軍が自分と家族を標的にしていると主張。「敵は私を第一の攻撃目標に、私の家族を第二の攻撃目標に据えている」と述べていた。

米ワシントン・ポスト紙の1996年の記事によれば、コナニキンは25歳までにロシアで100を超える企業を立ち上げた。また本人のウェブサイトによれば、コナニキンは現在ニューヨーク市を拠点としており、デジタル労働プラットフォーム「トランスペアレント・ビジネス」の最高経営責任者(CEO)を務めている。

20240730issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年7月30日号(7月23日発売)は「トランプ暗殺未遂」特集。前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中