最新記事

独裁者

「プーチンは顔も考え方も以前とは違う」

Former CIA Op: Putin Looks Like He's Crossed Over to 'Dark Side of History'

2022年3月1日(火)18時46分
ジャスティン・クレイワンズ

彼は血迷ったのか(2月27日、核兵器をチラつかせるプーチン)Russian Pool/Reuters TV

<CIA元工作員が指摘した「過去の挫折のトラウマ」と「コロナ禍での孤立」>

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、米CIAの元工作員が、ウラジーミル・プーチン大統領は「歴史の邪悪な側面」に堕ちたと評した。

CIAの秘密工作員とFBIの特別捜査官の両方の経験を持つトレイシー・ウォルダーは2月26日、MSNBCの番組「アレックス・ウィット・リポート」とのインタビューの中で、次のように語った。「プーチンが我々の友人だったことは、一度もない。だが彼がこれまでにしてきたことの大半は、サイバー攻撃や心理作戦の類だった」

ロシアによるウクライナ侵攻は、既に双方に多大な犠牲をもたらしている。ウォルダーはこの侵攻に至るまでの過程での、プーチンの態度の変化に注目した。

「彼は超えてはならない一線を超えて軍を動員し、全面戦争に踏み切った」とウォルダーは述べた。「これは予測しておくべき事態だったのではないか、と思う部分もあるが」

「プーチンはわずか数年前に、『戦いが避けられないならば、先に攻撃すべきだ』と発言していた」とウォルダーは述べた。「少なくとも彼はずっと、ウクライナの問題はいずれ戦闘に発展すると考えていたのだと思う。2014年のクリミア併合だけでは満足していなかったとは思わず、私たちは意表を突かれた」

外見も考え方も以前とは変わった

最近のプーチンについては、フランスのエマニュエル・マクロン大統領をはじめとする多くの人が、外見も考え方も以前とは変わったと指摘しているが、ウォルダーも同意する。番組の司会が、コロナ禍で自主隔離を求められたプーチンが深刻な孤立に直面した可能性について尋ねると、彼女は大きくうなずいた。

「まさにそれが、気づいたことの一つだ。大げさに聞こえるだろうが、プーチンの写真を見るとそれが分かる。私はよく彼の写真を見るのだが、顔の輪郭までが変わっている」とウォルダーは言う。「プーチンは外見も話し方も、以前とは変わった。歴史の邪悪な側に渡ってしまった」

プーチンの態度の一部は、旧ソ連の情報機関KGBの高官だった経歴が影響しているのかもしれない。ソビエト連邦の全盛期に生まれ育ったプーチンにとって、ウクライナ侵攻は、ロシアがかつての栄光を取り戻すための試みなのかもしれないとウォルターは指摘した。

「現在69歳のプーチンは、人生のうち50年間を政府またはKGBで過ごしてきた。故ジョン・マケイン上院議員が何年か前に、プーチンの目をのぞき込むと『K・G・B』の3文字が見えると言っていたが、私も心からそう思う」とウォルダーは述べた。「プーチンは大統領としての在任期間の大半において、KGB流のやり方を取ってきたのだと思う」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 8
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中