最新記事

ウクライナ情勢

ロシアのウクライナ侵攻3週目 キエフ包囲へ軍再編、ベラルーシからの攻撃も懸念

2022年3月13日(日)12時52分
ウクライナ親ロシア派部隊の戦車と戦闘員

ロシアがウクライナ侵攻を開始して3週間目に入った11日、ロシア軍が首都キエフの包囲に向け軍を再編し、各地で砲撃を続けている。写真はウクライナ東部ドネツク州ボルノバハで、親ロシア派部隊のメンバー(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)

ロシアウクライナ侵攻を開始して3週間目に入った11日、ロシア軍が首都キエフの包囲に向け軍を再編し、各地で砲撃を続けている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争で「戦略的な転換点」を迎えたと表明した。ロシアがウクライナ空域からベラルーシを空襲し、ベラルーシを紛争に巻き込もうと画策しているとの懸念も出ている。

ベラルーシからの攻撃懸念

この日はベラルーシのルカシェンコ大統領がロシアのプーチン大統領と会談。プーチン大統領は、西側の制裁がロシアの発展を妨げることはなく、ロシアは最終的に強くなると指摘。ウクライナとの交渉は実質的に毎日行われているとし、「交渉担当者からの報告では一定の前向きな変化がある」と述べた。

一方、ウクライナはロシアがウクライナ空域からベラルーシを空襲し、ベラルーシを紛争に巻き込もうと画策していると非難。ベラルーシがウクライナに侵攻することを計画している可能性があると明らかにした。

ゼレンスキー大統領は毎日行っているテレビ演説で「ウクライナの領土が解放されるまであと何日かかるのか言うことはできないが、解放を実現すると言うことは可能だ。なぜなら、われわれはすでに戦略的な転換点を迎えているからだ」と指摘。ロシアが徴集兵や予備兵、シリアの傭兵を使って侵攻軍をてこ入れしていると非難した。

こうした中、ロシア軍の攻撃は続き、ウクライナによると東部ハリコフ州イジューム近郊の精神病院が攻撃を受けた。患者と職員はシェルターに避難していたため負傷者は出ていないが、ハリコフ州のシネグボフ知事は「民間人に対する戦争犯罪」に当たるとし、ロシア軍がウクライナで「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を行っていると改めて非難した。

南東部マリウポリでは侵攻以来、ロシア軍の攻撃で少なくとも1582人の市民が死亡。ロシア国防省がマリウポリをほぼ完全に包囲したと表明する中、ウクライナ当局はロシア軍が市民の避難を意図的に阻害していると非難。ウクライナ内務省のアドバイザー、バディム・デニセンコ氏は「危機的な状況になっている」と述べた。

この日は攻撃はウクライナ中部にも及び、ドニプロ市で幼稚園や集合住宅の近くで3回の空爆があり、少なくとも1人が死亡した。

西側は制裁強化

米国のバイデン米統領は、主要7カ国(G7)と協調し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づくロシアの「最恵国待遇」を撤回すると表明。ロシアへの「新たな強烈な一打」になるとし、ロシアのプーチン大統領は「代償を払うことになる」と述べた。

米国はロシアからのウォッカや魚介類、ダイヤモンドの輸入も禁止するほか、ロシアとベラルーシへの高級品(高級時計や自動車、宝飾品などの輸出を禁止する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マクロン氏、早期辞任改めて否定 政治混乱もたらした

ワールド

トランプ氏、ガザ戦争終結を宣言 人質と拘束者解放

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ワールド

ハマス、ガザ地区で対抗勢力と抗争 和平実現に新たな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中