最新記事

宇宙

6億8100万光年先で合体しつつある3つの銀河、ハッブル宇宙望遠鏡が観測

2022年2月28日(月)11時30分
松岡由希子

Credit: ESA/Hubble & NASA, W. Keel, Dark Energy Survey, DOE, FNAL, DECam, CTIO, NOIRLab/NSF/AURA, SDSS, Acknowledgement: J. Schmidt

<地球から6億8100万光年離れたかに座方向に3つの銀河の合体が進行する様が捕らえられた>

欧州宇宙機関(ESA)は、2022年2月14日、地球から6億8100万光年離れたかに座方向にある合体銀河「IC2431」の画像を公開した。この画像はハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」がとらえたものだ。

3つの銀河の合体が進行している

2つ以上の銀河が重力によって合体して1つの銀河になる「銀河合体」は、銀河内のガスに衝撃を与え、これを圧縮する「重力崩壊」を引き起こし、星形成のきっかけとなる。

銀河合体では、2つの銀河の衝突が最も頻繁に観測されているが、その段階によっては見つかりづらい。たとえば、銀河合体の後期には、それぞれの銀河の中心にある超大質量ブラックホール(SMBH)が互いに引き合い、連星軌道の中に閉じ込められ、塵に覆われて見えなくなることがある。

この画像によると「IC2431」では3つの銀河の合体が進行しているとみられ、これら3つの銀河の重力相互作用がもたらす星形成や潮汐力による歪みが激しく混在している。また、画像の中心部は塵の厚い雲に覆われているが、奥側から銀河の外に向かって光が突き抜けていることがわかる。

「IC2431」は、アマチュア科学者も参加する市民科学プロジェクト「ギャラクシー・ズー」によって発見された。このプロジェクトでは10万人以上の有志が参加し、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを詳しく分析。これまでに未調査の90万個の銀河が分類されている。

Merging galaxies galore

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中