最新記事

ウクライナ

ロシア、ウクライナ情勢で「米は要求考慮せず」 対話継続には余地

2022年1月28日(金)10時55分
演習に参加したロシア軍の戦車

ロシアはウクライナ情勢を巡るロシア側の安全保障上の主要な懸念に対し、米国が対処する意図がないのは明らかだとの見解を示した。写真は27日、ロストフで行われたロシア軍の演習で撮影(2022年 ロイター/Sergey Pivovarov)

ロシアは27日、ウクライナ情勢を巡るロシア側の安全保障上の主要な懸念に対し、米国が対処する意図がないのは明らかだとの見解を示した。ただ、双方とも対話継続の余地を残した。

米国と北大西洋条約機構(NATO)は26日、ロシアが提示した安全保障に関する要求に書面で回答した。

これを受けてロシアのぺスコフ大統領報道官は27日、回答の分析には時間が必要で、結論を急がないとしながらも、米国とNATOがロシアの主要な要求は受け入れられないと発言していることを踏まえれば楽観する余地はほとんどないと指摘。

「(米・NATO高官の)昨日の発言に基づけば、主要な分野でわれわれの考えが考慮された、あるいは懸念を考慮する意思が示されたと言えないのは明らかだ」と述べた。ただ「われわれは評価を急ぐつもりはない」とも語った。

ペスコフ氏の発言は、ロシアが米国とNATOの回答を直ちに拒否せず、外交の扉を閉じていないことを示した。米政府も、ロシアが米欧の回答を精査した上で協議を再開することを望むとした。

ヌランド米国務次官(政治担当)は記者団に対し「われわれは外交を望む立場で結束している。だが、ロシアが対話の申し出を拒否すれば迅速かつ重大な代償を課すという決意でも結束している」と述べた。

ロシア外務省は、緊張緩和に向けた最善の方法はNATOが東欧から部隊を引き揚げることだとする一方、軍事侵攻の懸念払拭にも努めた。同省報道官は「誰も攻撃するつもりはないと既に繰り返し述べている」とし、「戦争を考えることすら受け入れがたい」と述べた。

こうした中、バイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した。ゼレンスキー氏は「緊張緩和に向けた最近の外交努力について協議し、将来に向けた共同行動で合意した」とツイッターに投稿。ウクライナに対する金融支援の可能性についても意見を交わしたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」

ワールド

ガザ停戦案、ハマスは修正要求 米特使「受け入れられ

ワールド

米国防長官、「中国の脅威」警告 アジア同盟国に国防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 6
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中