最新記事

新型コロナウイルス

現場の医師が警鐘「オミクロン株で見落とされていたこと」 感染爆発で明るみになった課題とは?

2022年1月28日(金)09時00分
鈴木理香子(フリーライター) *東洋経済オンラインからの転載

その証拠に、冒頭で同院には6人のオミクロン株の感染患者が入院していると紹介したが、2人の患者では酸素吸入が必要な肺炎を起こしていて、このような患者が次第に増えてきている。

さらに、この2年間の経験から、コロナウイルスでは新規感染者と重症者数の増え方には、タイムラグがあることがわかっている。今は軽症が多くても今後どのようになるかは、わからないのだ。

現在、倍々で増えている新規感染者数。これを止めるために期待されているのが、ワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種だ。埼玉医科大学ではすでに医療従事者への3回目接種が進み、岡医師も昨年末に接種を終えている。

「高齢者や病気などで免疫が弱い方へのブースター接種は、加速したほうがいい。今回は、全体的に国の進め方が遅い気がします。もっとスピードを上げないと」

改めて押さえたいワクチンの有効性

ここでワクチンの有効性について、改めて整理しておきたい。

現在流通しているファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチンは、もともとは従来株に対して作られたもので、2回接種を終えればその予防効果は9割ほどあった。この予防効果というのは、「感染を予防する効果」と「重症化を予防する効果」の両方だ。つまりは、人にうつすリスクも下げ、重症化させない効果もあったわけだ。

ところが、重症化しやすいデルタ株になると、感染を予防する効果より、重症化を予防する効果で意味合いが大きくなった。その背景にあるのはデルタ株の性質もあるが、それよりむしろ大きいのはワクチン自体の問題、接種からの時間経過によって抗体値が下がってきたという事実だ。岡医師が説明する。

「さらにオミクロン株に関して言うと、ワクチンを2回接種してから半年以上過ぎた人では、感染予防効果は2~3割程度に落ちてしまうことがわかっています。一方で、重症化を予防する効果は7割ほど保たれていました」

この状態でブースター接種をすると、一時的だが感染予防効果が7割程度まで回復する。感染性が高いオミクロン株の流行を抑える有力な要素になる可能性があるのだ。ちなみに重症化予防効果も9割ほどに戻る。4回目以降のことはわからないが、少なくともブースター接種の必要性は、オミクロン株が主流となった現時点でかなり大きいといえる。

「このワクチンは局所の痛みなどの副反応が強めなのがネック。私も軽い副反応が出ました。イスラエルはすでに4回目の接種を始めていますが、これを打ち続けるのかと思うと、正直嬉しくないです。そこは製薬企業側に副反応を軽くするなどの進歩を期待したいですね」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、ゼレンスキー大統領を指名手配

ワールド

インドネシアGDP、第1四半期は前年比+5.11%

ワールド

パナマ大統領選、右派ムリノ氏勝利 投資・ビジネス促

ビジネス

財新・中国サービスPMI、4月52.5に低下 受注
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中