最新記事

アメリカ政治

中間選挙の年、バイデン支持率挽回のカギは「アメリカ回帰」

Joe Biden Races Against Time to Achieve Priorities, Avoid Midterm Meltdown

2022年1月5日(水)19時43分
ジェイレン・スモール
バイデン

1月4日、ホワイトハウスのコロナ対策チームと協議するバイデン米大統領 Evelyn Hockstein-REUTERS

<努力の割に有権者の評価が低いのは、政策の優先順位を誤っている上、成果のアピールが下手だからだ。気候変動対策や民主主義サミットより、今はアメリカの問題に集中すべきだ>

「アメリカの魂を癒やす」との公約を掲げてジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任して1年が経つ。世論調査会社ギャラップの最近の調査によればバイデン政権の支持率は43%で、近代以降の大統領の1年目としては史上2番目に低い。ちなみにワースト1の記録を持つのは前任者のドナルド・トランプ前大統領だ。

ジェニファー・サキ大統領報道官は支持率低迷の原因は国民の「コロナ疲れ」と民主党内の足並みの乱れにあるとしている。一方で民主党は、支持率の低迷がこの秋の中間選挙(下院の全議席と上院の34議席が改選される)に与える影響を懸念している。

とは言え、中間選挙までにやれること(そしてなされるであろうこと)はたくさんある。

「2022年選挙シーズンの戦いの火蓋が切られれば、さまざまな変化が見られるようになるだろう」と世論調査の専門家であるジョン・アンザローニは言う。

有権者からは、バイデンは大統領選で掲げた主要な公約を果たせていないとの不満の声が上がっている。

1年目のかなりの時間を超党派の協力を取り付けることに費やしたにも関わらず、共和党支持者におけるバイデンの支持率はたったの5%だ。フェアリー・ディキンソン大学のクリス・ラスムセン教授(歴史学)に言わせれば、バイデンは今こそ自分の原点に立ち返る時だ。

成果を目に見える形で宣伝せよ

「バイデンはいわゆる『オバマ連合』の構成要素(だった有権者層)の多くをまとめた」と彼は言う。「アフリカ系アメリカ人と女性、それに若者も一定数、彼に投票した。彼らのバイデンに対する熱は少し冷めている」

バイデンが掲げた目標の一部は達成されたが、それが十分に認知されていないとラスムセンは語る。

「オバマとバイデンについて考えた場合、2人とも多くをなし遂げたのに、それが国民に認められていないようだ。功績の宣伝が不十分だったのだと思う。また、メディアの側の状況ももちろん変わっている」

バイデン政権は最優先課題として、コロナ禍の克服、インフレの抑制、投票する権利の保護、気候変動対策、国際社会におけるアメリカの地位回復の5つを掲げている。

だがラスムセンに言わせれば、5つの課題の優先度は必ずしも同じではない。

「私だったら国民から見える形で、コロナ禍と経済に力を注ぐ」とラスムセンは言う。「バイデンはコロナ下の経済を支えるため、そしてきちんと対応しているところを国民に見せるために、あらゆる手を打つ必要がある。また、インフレ抑制のためにやれることは何でもやるべきだ」

「他の問題については、何らかの成功が見込める時期が来るまでは、舞台裏での交渉をしばらく続ければいい」とラスムセンは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米北東部に寒波、国内線9000便超欠航・遅延 クリ

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

和平望まないなら特別作戦の目標追求、プーチン氏がウ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中