最新記事

北京冬季五輪

夏から冬へ14年ぶりに灯される聖火 北京五輪に見る中国の変貌とは

2022年1月31日(月)17時27分
北京冬季五輪のロゴ

北京冬季五輪がまもなく開幕する。外交ボイコットや徹底した新型コロナウイルス感染対策などが暗い影を落とした準備期間終わり、スポーツが舞台の中央に立つ。写真は北京市内で26日撮影(2022年 ロイター/Fabrizio Bensch)

北京冬季五輪がまもなく開幕する。外交ボイコットや徹底した新型コロナウイルス感染対策などが暗い影を落とした準備期間は終わり、スポーツが舞台の中央に立つ。

北京は史上初の夏冬両大会開催都市となる。開会式の会場となる国家体育場(通称「鳥の巣」)など一部の施設は2008年夏季大会の再利用で、開会式の総監督を務めるのも08年大会と同じ著名監督の張芸謀(チャン・イーモウ)氏だ。

しかし、それ以外はほとんど様変わりした。

08年夏季大会では、日の出の勢いの中国が世界の表舞台に登場し、見る者を圧倒した。しかし今や中国は以前よりも裕福かつ強力になり、習近平国家主席の下で権威主義の様相を強め、欧米諸国と対立を深めている。

コロナ禍の時代にあって中国は「ゼロコロナ」戦略という独自路線を採り、ほぼすべての国際便の運航を停止した。このため選手らは、選手や関係者を外部と接触させない「バブル」の中にチャーター便で直接入る必要がある。

08年夏季大会と同様に、五輪によって中国の人権問題が再び注目を浴びた。中国の人権弾圧は08年大会以降悪化し、米政府は中国がイスラム系少数民族ウイグル族にジェノサイド(集団虐殺)を行っていると批判し、米国その他の国々が外交ボイコットに踏み切った。

中国は疑惑を否定し、大会の政治化だと繰り返し反発している。

オックスフォード大学のラナ・ミッター教授(中国史・政治学)は「08年夏季五輪は、世界的な影響力の獲得を目指す中国にとってソフトパワーの強力な源泉だった。この1年で西側世界における中国の評価は大幅に悪化した」と指摘した。

「中国共産党は22年冬季五輪によって、こうした状況を覆すことが何かできるのではないかと期待するだろう」

しかし今大会は地政学的な緊張が高まる真っただ中で始まる。ウクライナ国境沿いで軍隊を増強しているロシアのプーチン大統領とグテレス国連事務総長が大会期間中に北京を訪れる予定だ。

時代の変化

北京市内は08年大会ではカーニバルのような賑わいを見せたが、今回は新型コロナ感染拡大阻止のための制限措置に対する諦めムードが漂っている。

チケットが一般発売されないことに対する失望もある。

今大会は昨夏の東京大会よりもはるかに厳しい「閉じた輪」の中で実施され、新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株への対応が試される。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:経済界は追加利上げに理解、賃上げも前向き

ワールド

米政権の政策、ドル決済の代替需要を助長=仏中銀総裁

ワールド

中国、軍事向け軍民両用品の対日輸出禁止 台湾問題巡

ワールド

ユーロ圏総合PMI、昨年通じて節目超え 第4四半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 6
    スペイン首相、アメリカのベネズエラ攻撃を「国際法…
  • 7
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 8
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 9
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 10
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中