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運動嫌いの記者がマラソンランナーに変身──運動を「快感」に変える禁断の?大麻効果

Weed Helped Man Who Hated Exercise Become Ultra-Marathon Runner

2021年11月8日(月)17時49分
アリストス・ジョージャウ

──あなた自身が走る時に感じる大麻の効果とは?

よくあるけだるそうな大麻常用者のイメージは、冷戦期の麻薬撲滅運動のプロパガンダの置き土産だ。確かに、あまりにも大量の大麻を摂取した場合には現実に起こりうる。

個人差はあるが、大麻は少量摂取であればエネルギーや多幸感、バランス感覚や集中力を高め、筋肉の協調運動もよくなる。だが摂取量があまりに多いと、パラノイアに嗜眠、協調運動不能といった副作用が起きる。

ランナーであれアスリートであれ、大麻を使っている人であれば、自分にとって望ましい効果を得られる量やタイミングはほぼ決まっていると言うだろう。私もまさにそうだ。

天然のランナーズ・ハイの時の体内と同じで、大麻にも抗炎症作用により痛みを軽減する効果がある。また大麻は、痛みに対する感情のレベルにも影響を及ぼす。(大麻を摂取しても)痛みを消してくれるわけではないので痛みの存在は感じるが、痛みに対する心持ちを変えてくれる。これは他の物質ではできないことだ。イブプロフェンでも無理だし、オピオイドでもできない。

大麻が運動に対してもつ3つ目の、そして最大の効果は、少なくとも私や、話を聞いた多くの人々ではそうだが、心理的なものだ。人が運動をしない理由はいくらもある。だが私の思うに、その多くは自分に対して抱いているイメージや、運動という行為へのイメージに端を発している場合が多い。人は運動について、面倒だとか大変だとか、何か乗りこえなければならないものだと考えがちだ。私の場合、大麻はそういう思い込みをがらりと変えてくれた。運動は1日の生活の軸となり、運動することが一種のごほうびとなったのだ。

間違ったセルフイメージもかき消す

運動は塩分や脂肪分、糖分やオーガズム、睡眠や学習と同じ、人間が進化させてきた報酬システムの一部だ。人類は進化の中で、そうした活動に取り組むよう促され、進歩を遂げてきた。運動もその中の1つであるはずだ。1日の終わりに、自分で自分に与える快楽というごほうびであるはずなのだ。

自分は醜いとか太っているとか、運動するタイプじゃないとかいう思い込みも消えてしまう。私はランニングだが、テニスやスキー、ボディビルディングをしている人でも大麻を活用している。何であれ、運動することに焦点を合わされている感じだ。

それはモチベーションを促進する触媒となりうる。私が初めて大麻を使ったときがそうだった。体を動かしたい気持ちが湧きあがり、心と身体のつながりを感じて興奮を覚えた。エクササイズをやる気が起きない人も、事前に少量の大麻を使えば、もっと簡単に、もっと楽にエクササイズに取り組むことができると思う。そして徐々により難易度の高い、激しい運動に挑戦することができる。

──運動目的ではどんな使い方が多い?

使用量はさまざまだ。タバコのように吸うのを好む人もたくさんいるし、ペン型の吸入器は自然のなかを走るトレイルランナー、なかでも一般のマラソンより長い距離を走るウルトラマラソンのランナーたちにとても人気がある。

ウルトラマラソンは何日も続けて100~300マイル(160~483キロ)を走るスポーツで、小さなペン型吸入器を携えて参加するランナーは多い。ほんの一口吸うだけで、気分がよくなり、長時間走ったことで頭が混乱していても、立ち直ることができる。大会では禁止されているが。

不安や恐怖を取り除く

私は昨年4月に50キロ走ったが、大麻のなかの精神を活性化させる主な成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)を70ミリグラムほど持って行った。通常、私が1回の長距離走で接種するのは10〜20ミリグラムだが、このときは8時間走り続けたので、1時間半から2時間ごとに食物とともに摂取した。

大麻の喫煙はあっという間に高揚感を高める傾向があるが、1時間以内に醒めて、気分が急落する可能性もある。食物と一緒に摂取すれば、ハイな状態がもう少し長続きする。

──参加者が大麻を使用する他のスポーツは?

思いつく限りどんなスポーツでも使用されているが、ゴルファー、ボディビルダーには特に人気がある。登山家にも多い。登山愛好家のコミュニティでは大麻が愛されている。もちろん、エクストリーム・スポーツでも人気がある。普通、大麻の効果と思われているものとはまったく異なる状態を経験できるからだ。

あまり体を動かさない状態で大量に摂取した場合、大麻は鎮静効果を発揮し、酩酊状態をもたらす。だが科学の進歩につれて、大麻の作用は大麻の栽培方法や、使用する人の精神状態、身体的活動によって異なることがわかってきた。

確かに、登山家が大麻を愛用するのは、目の前の活動に一点集中させるすばらしい効果があるからだ。それは世界アンチドーピング機関が大麻を禁止薬物に指定した理由のひとつでもある。大麻には非常に危険なことをする不安や、以前の怪我の恐怖を取り除く効果がある。

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