最新記事

スポーツ

運動嫌いの記者がマラソンランナーに変身──運動を「快感」に変える禁断の?大麻効果

Weed Helped Man Who Hated Exercise Become Ultra-Marathon Runner

2021年11月8日(月)17時49分
アリストス・ジョージャウ
ランニングイメージ

何日も続けて長距離を走るランナーにとって大麻は強い味方 Sutad Watthanakul-iStock

<大麻には、運動を楽しむ内なるメカニズムを呼び醒ます効果があり、多くのアスリートが使っている。自らの体験も含め、その使用実態を本にした著者が語る>

もしかすると、大麻がアメリカにおける運動ブームの火付け役になるかも知れない。

大麻の常用者と言えば、けだるげなイメージが一般的だ。だが、先ごろアメリカで刊行された『ランナーズ・ハイ』という本によれば、必ずしもそうではないらしい。アマチュアかエリートかを問わず、多くのアスリートが運動目的で大麻を使っている状況が取り上げられているのだ。

著者は調査報道ジャーナリストのジョサイア・ヘス。運動と大麻についての一般的な思い込みをひっくり返されるような本だ。

以前はまるで運動に興味がなかったのに、大麻のおかげでウルトラマラソン(通常のマラソンより長距離または長時間走るマラソン)のランナーになったというヘスに、本誌アリストス・ジョージャウが話を聞いた。

──このテーマを掘り下げ、本を書こうと思ったきっかけは?

個人的な話だが、食用大麻のおかげでランニングにはまったからだ。20歳代までは体を動かすタイプではまったくなくて、運動にも競技にも興味がなく、そもそもスポーツに関心がなかった。高校だと体育会系の連中にはまるで太刀打ちできないような、いかにも芸術志向で軟弱な若者だった。ところが大麻を使うようになって状況は激変した。もっと走りたいと思うようになった。走ることに夢中になったんだ。

愛用者はあらゆるスポーツに

最初の数年は街中を走っていたけれど、それから山道を走るトレイルランニングを始めた。たくさんのトレイルランナーやたくさんのウルトラマラソンのランナーと出会う中で、大麻人気が高いことを知った。

利用者の大多数は走る前や、一種のタブーではあるが試合の途中に、食用大麻や電子タバコ、または普通のタバコのような形で大麻を摂取している。あらゆるスポーツで大麻が広く使われており、プロのスポーツ選手の多くも大麻を使っていることを知って「ほとんど報道されていない事実だ」と思った。

もう1つの理由は、内因性カンナビノイドといわゆる自然な「ランナーズ・ハイ」の背後にある科学について学んだことだ。エンドカンナビノイドは体内で作られる一種のカンナビノイド(大麻に含まれる化学成分)で、30分くらい有酸素運動をした後に脳から放出される。これは進化の観点から見ると、ガセルを追いかけるといった場合に長距離を走る動機を人間に与えるためのもので、痛みが軽減されるとともに気分が高揚する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーチューブ、メディア収益でディズニー超えへ AI

ワールド

米ウクライナ、鉱物協力基金に合計1.5億ドル拠出へ

ワールド

中韓外相が北京で会談、王毅氏「共同で保護主義に反対

ビジネス

カナダ中銀、利下げ再開 リスク増大なら追加緩和の用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中