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カナダからの呟き

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カナダとコロナ禍と大麻ショップ

トロントの大麻ショップ。オープンスペースで開放感がある。大麻ショップの人気の差は、ロケーション、店の雰囲気、スタッフの知識とフレンドリーさが大きいようだ。コロナ禍なので入店にはマスクが必要。限定人数しか店舗に入れない。なので店の脇には長蛇の列ができている。その列が注目を集め、新たなお客を呼び込んでいる側面もある。(2020年10月筆者撮影)

カナダのトロントでも例に漏れず、コロナ禍で多くの小売店は閉鎖に追い込まれた。そんな中、新しくできたお店の前に長蛇の列ができていた。一体、何のお店だろうと思ったら、Cannabis Shop。つまり大麻ショップである。

大麻ショップのスタイル化

最近、トロントでオープンした大麻ショップの幾つかは、まるでセレクトショップかワインショップのようである。黒に白のシンプルなロゴ、オープンスペースの綺麗な店内。スタッフは知識豊富で要望に合った大麻を探し出してくれるそうだ。まさにソムリエのようである。こういった戦略により、大麻のイメージがお洒落なものとして定着するのは、個人的には苦々しく思うところであるが、性別問わず、安心して商品を選べるところは利点であると言える。

コロナ禍との関連性

コロナ以前に大麻ショップに列ができていたのは2017年10月の大麻合法化の時くらいである。その後、値段がブラックマーケットのものより高い、まだまだ入手への過程が困難ということで、闇品に戻ってしまう人もいた。しかし、3年後の今では、合法的に売買できる安心感や一部のお店のスタッフの知識の深さなどが口コミで広がり、大麻ショップの存在そのものがそれなりに浸透してきた印象を受ける。新規店はこうした側面をうまく切り取り、知識溢れるフレンドリーなスタッフ、便利なロケーション、清潔で綺麗な店舗と空間を心がけており、ヒッピーな怪しげなお店ではなく、あくまで嗜好品を扱う専門店としてのプロフェッショナル感を大事にしている。戦略的にとてもうまい。

現在、大麻ショップに人が列をなす要因のひとつは、新型コロナウイルスによるコロナ鬱であるのは否めない。コロナ禍で外出がままならない、自宅で授業、家から仕事なので車の運転などをしなくていい、精神的に落ち込む人が増えているなどの理由があるように思う。

一方で、大麻ショップの外に並んでいるのはほとんど20〜30代とおぼしき人たちで「せっかくだから自宅にいる時間が多いこの機会に試してみよう」というカジュアルさも感じとれるのである。そしてカナダの都市部では、大麻ショップに並んでいたからと言って後ろ指をさされることはない。

カナダの大麻の合法化

カナダでは2017年に10月に成人の30グラムまでの大麻の所持は合法となった。またライセンスを受けた小売店での大麻の売買が合法となった。合法化の理由はいろいろある。

法廷枠組みを設けることでカナダ全土における大麻の生産、販売及び所持を管理する、未成年者による大麻の利用を防止する、ブラックマーケトでの売買を防ぐことでマフィアやギャングにわたるお金を防止する、大麻売買に関連する犯罪者を排除する、安全で合法な大麻を流通させることで粗悪な品による健康被害を防止する 、などである。

連邦法では、18歳以上の者は合法的に30グラムまで大麻を所持したり他の成人と共有したりすることができるが、州によって法律は異なる。例えばオンタリオ州では成人とみなされるのは19歳からなので、19歳以上である必要がある。

大麻のカナダ国外への持出し及びカナダ国内への持込みについては、同法施行後も引き続き違法となる。

大麻の合法化はトルドー政権が公約として掲げていた政策の一つであり、公約の実現となった。

カナダの大麻文化

合法となる以前からカナダでは大麻利用者は多かった。おそらくタバコよりも使用者は多いのではなかろうか?

カナダで育った人たちの話を聞くと、大学生の時に試してみることが多いようだ。大麻の入手は合法化される以前でも日本よりずっと簡単だった。かなり日常的に『一般的なもの』として扱われているように感じる。街などを歩いていても大麻の煙の匂いがするのである。最初は『この妙な匂いは何なのだろう?』と不思議に思っていたのだが、のちにそれが大麻の匂いなのだと知った。はっきり言って臭い。強烈に臭い。かなり気持ち悪い匂いである。種類によっても匂いが違うらしいが、タバコの煙と同様、近づきたくないレベルで臭いのだ。効果云々以前に単純に臭い。他者にはすごく迷惑なものなのである。

一方で大麻がカジュアルに扱われているため、日本のように大麻がヘビードラッグの入り口になってしまう側面は希薄である。よいのか悪いのか微妙であるが、カナダは大麻への寛容性が高い国なのは確かである。

日本人が海外で使用する場合

領事館からのメールでは「日本では大麻取締法において,大麻の所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ,処罰の対象となっており,この規定は日本国内のみならず,海外において行われた場合であっても適用されることがあります。 」というグレーゾーンな記述だった。

トロントでは、大麻に手を出す留学生やワーホリの話は割と耳にする。そして周囲の人に厭われ、結果として孤立してしまう人たちもいる。道でマリファナを吸っている日本人もみかけたことがある。『吸うなら自宅でやれ!吸引後は家から出るな!』と思ってしまう。本人だけに害が出るならいいのだが、副流煙もあるし、臭いし、周囲に迷惑なのである。

大麻の効果と影響

大麻の効果は、遺伝的な体質、使用頻度、年齢、性別、現在の気分や性格、既存の精神的な健康状態など、多くの要因に左右される。迂闊に手を出すものではない。 また大麻によって効果が異なる。 そして、日本人の場合、体格が欧米人より小さいので影響が出やすい。

個人的には医療用途の大麻使用はアリだと思うが、レジャー目的での大麻はナシだ。大麻使用後に出歩かれたり運転されたりしたら、危なくて仕方がない。そして大麻に限らず、全ての薬物に言えるが、判断能力が欠如しているという自覚がないところが、一番厄介なのではないかと思う。

カナダの緩さと節度

おかしな言い方であるが、カナダはかなり緩いにも関わらず、それなりに節度はある。例えば、アルコールを摂取して、日本のように絡んできたり、街で吐いている人間は、まず、見ない。これと同じで、大麻が合法化されていても大麻でおかしくなっている人は殆ど見ない。大麻ショップに並んでいる人たちは、ごく一般的な人たちであり、素行が悪いという訳でもない。

カナダが合法化に踏み切ったのは、違法のままで放っておくより合法化にした方が利点があると判断したからだ。そこは日本とは大きな違いである。今、もし、日本で大麻を合法化したら、利点は、ほぼない。一方で医療用途の合法化は検討されるべきではないかと考える。

緩い中にも節度が保たれるのは重要である。カナダはそのバランスを保てる国なのである。そして、もし、その均衡が崩れたら、カナダは大麻を再び違法とするだろう。カナダが大麻を合法にしているのは理由と土壌があるのである。

 

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カナダに棲む女。食事においての最後の一品は自分が食べたい。寒がりなのにカナダに移住。英語が苦手なのにカナダに移住。フランス語が喋れないのにカナダに移住。

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