神は6日で世界を造ったとの「真実」を理解する意味...理不尽な世界に対峙する「神学」の力

2021年9月2日(木)12時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

教授: 個人的な話ですが、私と妻がニューヨークで生活していた頃のことです。住まいを探していたとき、家賃のわりに部屋も広いアパートを見つけました。とても気に入ったので、借りることにしたんです。ただ、一つだけ、その部屋には問題がありました。私たちの前の住人が、窓を開けっ放しにしていたため、鳩が部屋のなかに入りこみ、窓の内側の台のところに巣をつくって、卵を産んだのです。

私と妻が初めてその部屋を見に行ったときは、まだ卵でした。ですが、引っ越したときには、二羽の雛が生まれていて、私たちの顔を見ると、ピヤックピヤックと鳴きました。歓迎してくれたんですね(笑)。

家主さんには、糞(ふん)が衛生上良くないから、すぐに鳩を捨てるよう言われました。でも、私たちはとてもその鳩の雛を捨てることができませんでした。とはいえ、確かに、衛生的ではないし、母鳩が雛に餌を与えるために行ったり来たりするため、窓も開けておいてあげなければなりません。そこで、私たちは頑丈な箱で鳩の家をつくることにしました。雛をそのなかに入れ、窓の外側の台に、ロープで鳩の家をしっかりと固定しました。落ちないようにして、濡れないように雨よけもつくってあげたのです。

ところで、私たちがつくったその箱に、鳩の雛を移すとき、雛が全然鳴きませんでした。なぜ鳴かないのか不思議で、周りを見回してみると、母鳩が向かい側のアパートからじっと見守っていることがわかりました。母鳩がそばにいるから、雛たちは怖がらなかったのです。

鳩は小さな生き物です。ニワトリは、三歩歩くともう忘れている、なんて言われます。鳩の記憶力もニワトリとあまり変わらないそうです。けれども、そんな鳩でも、毎朝、餌を集めに出て行き、午後の同じ時間には必ず雛のところに戻ってくるのです。自分の子どもがかわいくて、かわいくて、自分が一生懸命取ってきた餌を、一粒残らず子どもに与えてやるの
です。

ある時、台風が来ました。私たちは心配になって、部屋から鳩の箱を覗いて見ました。すると、母鳩が羽をいっぱいに広げて、懸命に、雛を風から守っている様子が見えました。私はそのとき、神様がつくられた自然の摂理は本当に神秘的だと、改めて感じました。

箱のなかの雛は、一日中静かにしているのに、母親が帰ってくると喜びに満ちた声で力いっぱい鳴きます。鳩のお母さんの存在自体が、鳩の赤ちゃんにとっては、この喜び以上の喜びがないほどの喜びなのです。

それを見た私は、目には見えないけれど、この世界は、愛に満ちている。そんな「真実」に目が覚めたような気がしました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、イランとの協議順調 紛争費用負担でアラブ諸国に

ワールド

米陸軍精鋭部隊、数千人規模が中東展開開始 イラン作

ワールド

中国の大手銀、金利マージン縮小の鈍化見込む 海外の

ワールド

エア・カナダCEO退任へ、死亡事故の弔意で仏語不使
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中