最新記事

ドキュメンタリー

専門家でさえ初めて見るクジラの貴重映像...海の神秘に迫ったJ・キャメロン

They’re Just Like Us

2021年5月21日(金)18時40分
キャスリーン・レリハン
『クジラと海洋生物たちの社会』のワンシーン

Luis Lamar/National Geographic for Disney+

<大海原でクジラを追い掛け続けて3年。ジェームズ・キャメロン監督が神秘の生態を記録したドキュメンタリー>

歌唱大会に方言別のグループ、食べ物へのこだわり、女性長老の存在、アイデンティティーへの誇り、子育ての選択、そして死者への追悼――。

これは、人間界の話ではない。映画史上最大の興行収入を記録した『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が、新たに謎に満ちた世界を見せようとしている。大きな脳と複雑な社会と、優れた意思伝達能力、それに高い認知力と感情を兼ね備えた動物、クジラの世界だ。

ナショナル・ジオグラフィックのドキュメンタリー『クジラと海洋生物たちの社会』は、キャメロンが北極と南極を含む世界の海を3年以上駆け巡り、誰もが知っている動物の、誰も見たことがない生態を見せる全4話のシリーズだ(ディズニープラスで配信中)。キャメロン映画の常連俳優シガニー・ウィーバーがナレーションを務める。

「長年クジラには大きな魅力を感じていた。私の専門分野ではないが、好奇心に任せてその世界に首を突っ込み、一種の物語として紹介する素晴らしいチャンスを得た」と、キャメロンは語る。

「海に引き寄せられた」

クジラたちの生態を至近距離で捉えることができたのは、水中写真家ブライアン・スケリーの技術のたまものだ。スケリーは40年以上にわたりクジラを撮影してきた経験があり、クジラに仲間として受け入れられることさえある。

キャメロンは、『タイタニック』や『アバター』といったアカデミー賞受賞作や、『エイリアン』や『ターミネーター』などのSF映画の監督として知られるが、ナショナル・ジオグラフィックの後援で海の探検もしてきた。

2012年には30分番組『ジェームズ・キャメロン:世界一深い海へ』で、世界最深とされるマリアナ海溝に世界で初めて単独到達したプロジェクトを紹介している。

そして今回はスケリーの助けを借りて、最先端技術と海洋探検という2つについての情熱を同時に追求することにした。カメラを向けたのは、クジラ目のシャチ、ザトウクジラ、ベルーガ、イッカク、マッコウクジラの5種だ。

キャメロンは、番組公開に先駆けて刊行されたスケリーの写真集『シークレット・オブ・ザ・ホエールズ』(原題)に序文を寄せている。それによると、キャメロンもスケリーも、海の中を探検して、そこで創作活動をすることに大きな魅力を感じてきたという。

「私たちはどちらも、海のない内陸の労働者階級の町に育った。それなのにどちらも、海に引き寄せられた」と、キャメロンは書いている。YMCAのプールでスキューバダイビングのライセンスを取得したのも2人の共通点だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月米利下げ観測強まる、金利先物市場 FOMC決

ビジネス

FRBが0.25%利下げ、6会合ぶり 雇用弱含みで

ビジネス

再送〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRB、年内0.5%追加利下げ見込む 幅広い意見相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中