最新記事

中国

「100」の字の編隊で飛ぶ中国ヘリ、狙いは?

Chinese Military Helicopters Spotted Flying in the Shape of '100'

2021年5月19日(水)21時54分
ジョン・フェン
「100」の字の編隊を組んで飛ぶ中国の攻撃ヘリ

100の字になって飛ぶ中国ヘリ WEIBO

<従来の軍事パレートはしないとされている共産党結党100周年の祝賀のための飛行訓練だとすれば、中国政府トップが参加を計画していることを示唆している>

中国北部の上空を、整然と編隊を組んで飛行する中国軍のヘリコプターと戦闘機が目撃された。今夏の中国共産党創立100周年に向けた準備と見られる。

結党100周年の祝賀行事を計画する関係当局は、7月1日から北京で開催される祝賀行事では、従来の軍事パレードは実施しないとすでに発表している。

だが、河北省中部の保定市で、ソーシャルメディアのあるユーザーが撮影した画像には、「100」という数字に並んで低空飛行する29機の軍用ヘリコプターが写っている。この数字が、来たる100周年を意味していることは明らかだ。

5月16日に撮影されたその写真では、攻撃ヘリコプター「Z-10」と「Z-19」が飛行しているように見える。どちらの機種も現在、中国人民解放軍(PLA)陸軍で使われている。

微博(ウェイボー)の複数ユーザーが目撃したリハーサルは、結党100周年の祝賀行事に中国上層部が軍の参加を計画していることを示唆する最新の情報と言える。中華人民共和国建国70周年を祝った2019年10月1日の国慶節(建国記念日)に実施されたような大規模なパレードではないにしても、なんらかのデモンストレーションが行われそうだ。

フォーメーションで飛ぶ中国ヘリの動画

中国で人気のショート動画プラットフォーム「抖音(ドウイン)」と「快手(クワイショウ)」(英語圏では、前者は「TikTok(ティックトック)」、後者は「Kwai(クワイ)」と呼ばれている)においても、河北省の住人たちが、過去2か月で同様の場面を撮影している。

4月20日付の抖音の動画では、「0」の形を描いて飛行する人民解放軍のヘリコプター編隊がとらえられている。また、5月7日付の快手の動画では、「10」の編隊を組む同タイプのヘリコプターが見てとれる。

天安門広場の軍事パレードもなし?

台湾の国営通信社である中央通訊社によれば、中国共産党は、北京の天安門広場や、内モンゴルの朱日和訓練基地で行う従来の軍事パレードについては計画していない可能性があるという。だが、祝賀行事の一環として軍用機が式典の上空を飛行する可能性はある。

その軍事航空ショーでは、色とりどりの煙幕を従えた軍用機が飛行する可能性が高い、と中央通訊社は述べている。

祝賀行事の計画が発表された3月23日には、共産党中央委員会の委員が、祝賀式典では習近平国家主席が「重要な演説」を行う予定だと述べた。

共産党宣伝部の王暁輝副部長が報道陣に述べたところによれば、中国は「世界最大のマルクス主義の与党」であり、正式な党員は2019年12月現在で9191万人にのぼるという。

一方、200万人規模の中国軍の大半は、100周年祝賀の際には持ち場にとどまることになる。とはいえ、中央軍事委員会政治工作部の李軍によれば、兵士たちに対して習近平への絶対的な忠誠を教える訓練を実施するという。

この訓練では、「習近平思想」のイデオロギーに焦点をあわせ、「骨の髄まで忠実」であることを兵士に教えると李軍は続けた。

(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算に注目、AI業界の試金石に=今週の

ビジネス

FRB、9月利下げ判断にさらなるデータ必要=セント

ワールド

米、シカゴへ州兵数千人9月動員も 国防総省が計画策

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 4
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 5
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 6
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    株価12倍の大勝利...「祖父の七光り」ではなかった、…
  • 9
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 8
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 9
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中