最新記事

米政治

ベーシックインカムを掲げるニューヨーク市長の有力候補

NYC'S 'CHEERLEADER IN CHIEF'

2021年4月8日(木)16時19分
ジェイソン・レモン
ニューヨーク市長選への出馬を表明したアンドリュー・ヤン

議員の友人たちとニューヨークの重要性を政府に訴えると語るヤン JOHN LAMPARSKI/GETTY IMAGES

<昨年の大統領選に出馬したベーシック・インカムの旗手アンドリュー・ヤンが、初のアジア系ニューヨーク市長を目指す>

起業家として経験を積んできた台湾系アメリカ人のアンドリュー・ヤンは、2020年の米大統領選で民主党の候補者指名獲得を目指したものの、予備選では代議員を1人も獲得できずに終わった。それでも、ホワイトハウスへの挑戦を通じて──公約の柱だったベーシック・インカム(BI=最低所得保障)政策と共に──全国区の知名度を獲得した。

そのヤンが今度は11月のニューヨーク市長選(予備選は6月)に民主党からの出馬を表明している。最近の世論調査によれば、現時点で有力候補の1人だ。もし当選すれば、アジア系アメリカ人として初めてアメリカ最大の都市の舵取り役を務めることになる。本誌ジェイソン・レモンが先頃、ビデオ会議システムでヤンに話を聞いた(以下のインタビュー内容は、文字数の制約と記事の明瞭性確保のために編集してある)。

――ニューヨーク市長選への出馬を考え始めたのはいつだったのか。

最初に考え始めたのは、大統領選の選挙運動を止めた後だった。その頃、私に市長選出馬を働き掛ける動きがあった。「次は市長選に出るのか」と、大勢の人から言われた。それは20年初めの話だ。

けれども、その頃はジョー(・バイデン現大統領)とカマラ(・ハリス現副大統領)を大統領選で勝たせるために奔走していた。ドナルド・トランプ(前大統領)の政権があと4年間続けば、とんでもないことになると恐れていたからだ。それに、当時は新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しつつあった時期。その危機からの脱却を加速させることが私の最優先課題だと思っていた。

つまり、市長選のことは1年間ずっと考えていたけれど、本格的に検討し始めたのは、ジョーとカマラが大統領選に勝った後だった。

――あなたは、政治の世界ではいわば新参者だ。その点がニューヨーク市長選でプラスになると思うか。

いま多くのアメリカ国民は、官僚制がうまく機能していないという不満を抱いている。最近の問題は多くがトランプのせいだが、トランプとはほとんど関係なく起きている問題もある。例えば、ワクチンの接種が迅速に進んでいないのはトランプのせいではない。「どうすればもっとうまくシステムを機能させられるのか」と、誰もが考えている。その点で、長い政治経験を持っていない私が役に立てると思っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア高官、和平案巡り米側と接触 協議継続へ=大統

ワールド

ゼレンスキー氏、和平巡る進展に期待 28日にトラン

ワールド

前大統領に懲役10年求刑、非常戒厳後の捜査妨害など

ワールド

中国、米防衛企業20社などに制裁 台湾への武器売却
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 7
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中