コロナ危機により、ついにベーシック・インカムが実現する可能性

経済と財政への影響はどれほどあるのか? ANDREUS/ISTOCK
<各国で何度も議題に上がりながら、机上の空論のイメージを拭えなかった「最低所得保障」だが、真剣に導入を検討する国が現れ始めた>
ボリス・ジョンソン英首相が、全国民に最低限の所得を保障する「ベーシック・インカム(BI)」を検討する考えを示したことが話題となっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的な措置ではあるが、主要国がこの制度について本格的に議論するのはおそらく初めてだろう。スペインも低所得者に限定した形だが、コロナ対策の一環として、最低限の所得を保証する制度について検討を開始している。
BIは経済的に豊かな欧州の小国を中心に以前から議論されており、2016年にはスイスが導入について国民投票を行ったこともある(結果は否決)。フィンランドでは17年から2年間の実証実験を行っており、オランダでも同様の実験が行われた。
BIでは最低限の所得が常に保障されるので、経済危機などで多くの人が一時的に仕事を失っても、安心して当面の生活を続けることができる。新しいビジネスにもチャレンジしやすくなるので、推進論者はBIを導入しても経済に悪影響を与えないと主張している。
一方で、労働者の就労意欲がなくなり、経済が低迷することを危惧する声も根強い。フィンランドの実験では、BI実施前後で就労状況に大きな変化はなかったので、限定された範囲内であれば、就労意欲の低下はそれほど心配しなくてもよいのかもしれない。だが何といっても最大の懸念材料は財源だろう。
財政目標棚上げの可能性
フィンランドのケースでは1人当たり月額560ユーロ(約6万7000円)を配るというものだったが、仮に日本において全成人(20歳以上)に月額7万円を配ると仮定すると、毎年88兆円もの財源が必要となる。日本政府の一般会計予算は約100兆円しかないので、今のままでは到底不可能だが、一方で、日本は一般会計とは別に、年金に約52兆円、医療に43兆円、介護に10兆円、合計105兆円の社会保障関連支出を行っている(一部、一般会計と重複)。
年金受給者にBIを支給しなければBIの給付金額は58兆円に減らすことができ、BIの給付を月5万円にするとさらに41兆円まで下がる。それでも医療制度を自助努力型に変えるなど、根本的な歳出見直しを実施しない限り日本での導入は難しいと思われる。
「史上最高値」の株高を、日本は喜んでいいのか? 従来の価値観では全体像を見誤るリスクが 2025.08.29
日米関税交渉、日本は「取りあえずの勝ち」だが...待ち受ける「今後の交渉」の内容とは? 2025.08.06
-
外資系製造業大手の総務アウトソーシングのアシスタン 永田町駅
株式会社スタッフサービス ITソリューション
- 東京都
- 月給23万5,000円~
- 正社員
-
港区/外資系コンサル企業の受付・総務/未経験OK!賞与あり 土日祝休み 20代・30代活躍中
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給23万円~30万円
- 正社員
-
東京駅/外資企業/受付/スーパーバイザー/語学活かせる 月30万~・土日祝休 20代・30代活躍中
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給30万円~36万円
- 正社員
-
経理/在宅週2日!外資で働く!経理担当「シニアアカウンタント」 経理「経理事務」・英文経理
ランスタッド株式会社
- 東京都
- 月給41万6,000円
- 正社員