最新記事

健康

コロナ禍で7割が体重増 平均18キロ重く......米調査

2021年4月2日(金)18時30分
青葉やまと

sefa ozel-iStock

<自粛生活中の体重コントロールはよくある悩みだが、予想を上回る深刻な実態が米調査により明らかになった>

コロナ禍で少しふっくらしたという話はよく聞くものだが、アメリカでの状況は一段と深刻になってきている。米心理学会の調査により、25歳から42歳までのミレニアル世代において、約7割の人々の体重が増加していたことが明らかになった。

調査はアメリカに住む18歳以上の3013名を対象に、オンラインの質問形式で実施された。体重変化が最も深刻だったミレニアル世代では、パンデミック以前と比べて意図せず体重が増加したと回答した人の割合が7割に上った。増加した人々についてどれだけ変化したかを調べたところ、パンデミックが始まった1年前と比べ、平均で約18.6キロ増という結果が得られた。

肥満問題を研究するアンジェラ・フィッチ医学博士は米CBSに対し、この結果は「衝撃的だ」と語る。同時に、過酷な1年間だったことを考えればあり得る話だとも述べ、状況について一定の理解を示した。

ミレニアル世代に次いで増加量が多かったのは、18歳から24歳の成年Z世代であった。体重が増えた人々の平均増加量は、約12.7キロとなっている。米CBSニューヨーク支局は本調査結果を伝えるニュースのなかで、「フレッシュマン15」という言い回しを引き合いに出している。パンデミック以前からアメリカの大学では、入学後の1年間で15ポンド(約6.8キログラム)ほど体重が増えがちだと一般に言われてきた。若者の成長は健康の証でもあるが、そのペースはコロナ禍で1.8倍超になったことになる。

Health Experts Offer Advice For Individuals Experiencing Weight Gain During Pandemic

全世代に目を向けると、パンデミック中も体重の維持に成功している人は約4割存在する。一方、予期せず体重が減少した人が約2割おり、増加した人は4割を占めた。

運動減とストレスが災いか

急速に進行した肥満化だが、その背景にはパンデミックによる物理的・精神的変化がある。アメリカでは昨年3月の第1波を受け、全50州のうち45の州が順次ロックダウンに入った。これまでの調査により、ロックダウン期間中は市民の1日あたりの平均移動歩数が減少したことが確認されている。このように物理的な運動量が減ったことが原因のひとつと見られる。

さらに、ロックダウンの解除以降も米国民のストレスは続いており、これを紛らわすための過食と不摂生も影響している。CBSニューヨークのキャスターは「食生活、水分補給、睡眠、エクササイズ。これらは後回しにされてきましたが、ご存知通りいま、私たちの健康にインパクトを与えています」と指摘する。番組のインタビューを受けた街角のドライバーは、 コロナで体重が増加した原因として、ストレスの蓄積による過食などを挙げた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

今年のロシア財政赤字見通し悪化、原油価格低迷で想定

ワールド

中国、新型コロナの発生源は米国と改めて主張 米主張

ビジネス

FRBは現行の政策運営枠組み撤廃でより厳格にインフ

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P上昇、終盤に買い GDP
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・ロマエとは「別の役割」が...専門家が驚きの発見
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中