最新記事

米朝関係

北朝鮮の脅しに米北方軍司令官「米本土に届くミサイルは最大3基」「本土を守る能力はある」

Pentagon Responds to North Korea's Latest Threats

2021年3月18日(木)18時42分
デービッド・ブレナン
北朝鮮の金正恩国務委員長

バイデン政権になって米朝関係は最悪に KCNA/via REUTERS ATTENTION EDITORS

<米朝関係が行き詰まるなか、北朝鮮はアメリカに強い警告を発した>

北朝鮮が米韓の合同軍事演習を「止めろ」とアメリカを脅したことを受けて、米北方軍および北米航空宇宙防衛司令部のグレン・バンハーク司令官は、米軍には引き続き「米本土を守る」用意があると述べた。

ジョー・バイデン米政権は、中国と北朝鮮に対抗するためアジアの同盟諸国との連携強化を目指しており、アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が3月15日からアジアを歴訪。日本および韓国の外交・防衛担当閣僚と会談を行っている。18日にはアラスカで米中の外交トップが会談を行う予定だ。

北朝鮮の最高指導者、金正恩の妹で側近の金与正は15日、アメリカをけん制。国営通信を通じて発表した声明の中で彼女は、「我が国土に火薬の臭いを放とうと躍起になっている米新政権に警告する」と述べ、こう続けた。「今後4年間、安心して眠りたいならば、最初の段階で騒ぎを起こさない方がいい」

CNNの報道によれば、米情報機関の当局者たちは、北朝鮮がバイデン政権の発足後初めてとなるミサイル発射実験の準備を進めている可能性があると考えている。北朝鮮はこの数カ月で複数の新型兵器を公開しており、アメリカや同盟諸国の標的を狙った攻撃能力を拡大しつつあるのではないかと懸念が高まっている。

一部ミサイルは米主要都市も射程圏内

バンハーク司令官は16日、記者団に対して、米北方軍および北米航空宇宙防衛司令部には「ならず者が保有する限られた数のミサイルから米本土を守る能力がある」と説明。各部隊は北朝鮮を「重点的にマーク」していると述べた上で、次のように語った。

「今後の最大の課題は、北朝鮮が2020年10月のパレードで公開した以上の攻撃能力に抵抗するために、十分な数の地上配備型迎撃システムを維持していくことだ」

バンハークは脅威の性質についての記者団からの質問に対して、詳細な説明は控えると述べ、こう続けた。「我々には常に、米本土を防衛するための計画がある。我々は常に、必要に応じて抑止または反撃するための能力に目を配っている」

また彼は、北朝鮮が現在「米本土を攻撃可能とみられるミサイルを最大3基」保有しているとの認識を示した。

北朝鮮は軍備を拡充しており、今ではアジア地域にある米関連施設だけでなく、米本土の標的にもその脅威が及んでいる。北朝鮮が保有する弾道ミサイル「火星15」は射程距離が約1万3000キロメートルに及び、アメリカの全ての主要都市が射程圏内に入っている。

「我々は常に米本土を守る能力を有しているし、言うまでもなく、我々には米本土を防衛する権利がある」とバンハークは述べ、こう続けた。「我々は日々、地上配備型の迎撃システムを通してそれに備えている」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、ロボタクシー無人走行試験 株価1年ぶり高値

ワールド

インド、メキシコと貿易協定目指す 来年関税引き上げ

ビジネス

フォードEV事業抜本見直し、7車種生産・開発打ち切

ワールド

ウクライナ和平協議、米欧が進展報告も領土問題でなお
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中