最新記事

地球史

こんなに動いていた! 10億年のプレートの移動が40秒の動画で示される

2021年2月15日(月)18時01分
松岡由希子

10億年にわたって地球のプレートが途切れることなく移動する様子を40秒のアニメーション EarthByte-YouTube

<豪シドニー大学らの研究チームが4年かけて10億年にわたるプレートの完全なモデルを構築することに成功した...... >

地表を覆う固い岩盤、すなわち「プレート」は、地表のあらゆる生命体に影響をもたらす生命維持システムだ。1年あたり数センチのペースでゆっくりと移動しながら、地球の気候や潮汐、火山活動、動物の移動や進化などに作用してきた。このような地質作用ゆえに、地球は生命体を宿すことができたと考えられている。

4年かけて完全なモデルを完成させた

従来、時代区分や地域ごとに研究がすすめられてきたため、地質学データや古地磁気データはばらばらであったが、豪シドニー大学らの研究チームが4年かけてこれらのデータを同化し、10億年にわたるプレートの完全なモデルを構築することに成功した。一連の研究成果は、地球科学専門学術雑誌「アース-サイエンスレビュー」(2021年3月号)で掲載されている。

研究チームは、10億年にわたって地球のプレートが途切れることなく移動する様子を40秒のアニメーション動画で示した(次ページに)。

南極大陸は、かつて赤道直下にあった

この動画をみると、プレートが絶えず揺れ動き、地球がいかに動的であるかが一目でわかる。海洋が開いたり閉じたりする一方、大陸は分裂したり、定期的に再結合して、巨大な超大陸を形成したりしている。たとえば、南極大陸は、かつて赤道直下にあった。

研究論文の責任著者でシドニー大学のディートマー・ミュラー教授は「この完全なモデルは、地球がどのようにして複雑な生き物の住みかとなったのかを解明するのに役立つ」と解説。

このモデルを用いることで、「気候や海流がどのように変化してきたのか」、「地球深部から栄養素がどのように流れ出し、生物学的進化を刺激したのか」といった謎の解明がすすむと期待されている。

また、一連の研究成果は、「海洋底拡大や火山活動を介して、地球の内部がどのように対流し、化学的に混合し、熱を失っているか」についての解明にもつながるとみられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

独ミュンヘンで車突っ込み28人負傷、アフガン人運転

ビジネス

トランプ米大統領、13日に相互関税発表へ SNSに

ビジネス

ホンダと日産、経営統合の構想とん挫 子会社化案で合

ビジネス

日産、今期800億円の最終赤字予想 リストラ費用1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景から削減議論まで、7つの疑問に回答
  • 3
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観察方法や特徴を紹介
  • 4
    フェイク動画でUSAIDを攻撃...Xで拡散される「ロシア…
  • 5
    【クイズ】今日は満月...2月の満月が「スノームーン…
  • 6
    【クイズ】アメリカで「最も危険な都市」はどこ?
  • 7
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 8
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 9
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 10
    暗殺犯オズワルドのハンドラーだったとされるCIA工作…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮兵が拘束される衝撃シーン ウクライナ報道機関が公開
  • 4
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 5
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 6
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 9
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 10
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中