最新記事

アメリカ政治

ジョー・バイデン、第46代アメリカ大統領に就任 「無意味な戦い終結」と団結訴え

2021年1月21日(木)15時00分

米民主党のジョー・バイデン氏(78)が20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第46代大統領に就任した(2021年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)

米民主党のジョー・バイデン氏(78)が20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第46代大統領に就任した。新型コロナウイルス感染で国民40万人超が死亡し、国内に政治的分断が広がる中での船出となる。

バイデン氏は一世紀以上にわたり受け継がれている聖書に手を置き、ロバーツ連邦最高裁判所長官の前で宣誓。就任演説で「課題を克服し、米国の魂をよみがえらせ、未来を確保するには言葉以上のものが必要だ。それは民主主義の中で最も難しいもの、すなわち団結だ」と強調。「われわれは民主党と共和党、都市部と地方、リベラル派と保守派の無意味な戦いを終わらせなければならない」と訴えた。

また6日に発生した議会議事堂への乱入事件について、暴徒が米民主主義の根幹を覆そうとしたが、自身の大統領就任によって、その失敗が証明されたと指摘。「(民主主義の阻止は)起こらなかった。きょうも、あすも、将来も決して起きない」と述べた。


その上で「私は全ての米国民の大統領になると誓う」とし、「私を支持した国民そして支持しなかった国民のために戦う」と約束した。

カマラ・ハリス氏も宣誓し、黒人・アジア系米国人そして

女性として初の米副大統領に就任した。

米国は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、景気低迷、気候変動、人種問題の4分野で課題に直面している。

バイデン氏は就任式を終えてホワイトハウスに到着すると早速、「無駄にする時間はない」として、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰など15の大統領令に署名、トランプ前政権からの路線転換に乗り出した。

就任演説は国内問題を念頭に置いた内容が中心となったが、諸外国に向けたメッセージも発した。トランプ政権によって悪化した同盟関係を修復し、平和や安全保障において強く信頼できる提携国になると明言。北朝鮮やイラン、中国に関する言及はなかった。

ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン政権発足後初の記者会見を開き、バイデン氏が最初に電話会談を行う外国首脳はカナダのトルドー首相になると明らかにした。二国間関係や、バイデン氏が決定した「キーストーンXLパイプライン」の建設認可取り消しについて22日に協議する。

バイデン氏にとって最優先課題は、コロナ禍で打撃を受ける国民を支える1兆9000億ドルの景気対策だ。成立には、民主党がわずかに優位ながらも勢力が拮抗する議会での可決が必要になる。

上院は20日、バイデン政権の閣僚人事で初めて、アブリル・ヘインズ氏の国家情報長官(DNI)就任を承認した。

バイデン氏は大統領として史上最高齢。就任式は新型コロナウイルス対策と議会議事堂への乱入事件を受けたセキュリティー上の懸念を受け、規模を縮小して行われた。

トランプ前大統領は任期最終日の20日朝、ホワイトハウスを後にした。バイデン氏の就任式には出席せず、メラニア夫人と共にフロリダ州の別荘に向かった。

一方、ペンス副大統領や共和党の議会指導部は出席。オバマ元大統領、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ビル・クリントン元大統領も参列した。

また、通常であれば就任式を祝うために集まる観客に代わり、今年は議事堂からリンカーン記念館までのナショナル・モールに約20万本の米国旗が飾られた。

就任式後、バイデン大統領はワシントン近郊のアーリントン国立墓地を訪れ、無名戦士の墓に献花した。オバマ、ブッシュ、クリントンの歴代大統領らも同席した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中