最新記事

米政治

さようならトランプ、負債3億ドルと数々の訴訟、捜査が待っている

GOODBYE, DONALD TRUMP

2021年1月28日(木)18時45分
スーザン・マシューズ

法的泥沼が前大統領を待つ

これこそ、トランプ大統領時代に(支持者と批判派を問わず)多くの人が、心理的ストレスにさらされた理由の1つだ。トランプの行動を受けて、ある人は「なぜこんなことが許されるのか」と頭を悩ませ、別の人は「なぜ自分には同じことが許されないのか」と考えた。

トランプの大統領の就任以来、アメリカは数々の意味で深刻な痛手を被ってきた。だが最大のダメージは煎じ詰めれば、疑わしきは罰せずという原則が少数の恵まれた者にだけ拡大適用されていることだ。

ただし、今回だけは別かもしれない。大統領退任はトランプの人生における最も劇的な転換点だ。

負けを恥とする彼はいまだに、昨年の大統領選での敗北を認めることもできない。これは、拒絶されたことへの反応であると同時に、今後の展開を恐れてのことではないか。退任後のトランプには、前代未聞の数の法的泥沼と金銭的惨事が待ち受けている。

ニューヨーク州マンハッタン地区検察のサイラス・バンスJr.検事は、トランプ一族が運営するトランプ・オーガニゼーションに対する捜査の範囲を広げている。ニューヨーク州のレティシャ・ジェームズ司法長官は、トランプのビジネス慣行をめぐって別件で調査を進めている。

内国歳入庁(IRS)はトランプの税務調査に乗り出しており、報道によれば、税金詐欺容疑で連邦当局に起訴される可能性がある。

トランプが2016年の大統領選前、過去に関係を持った元ポルノ女優と元モデルの2人に口止め料を支払った件についても、バンスは適法性を調査している。昨年8月に裁判所に提出された書類によると、調査範囲は拡大される見込みだ。

トランプに性的暴行を受けたと告発した女性2人による名誉毀損訴訟も続く。

一方、トランプがジョージア州での大統領選の結果を覆すよう電話で求めたのは違法行為か、同州当局者は調べている。

さらに連邦議会議事堂の占拠事件で反乱を扇動したとして、トランプは1月13日、米下院で2回目の弾劾訴追を受けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、前倒しの過度の利下げに「不安」 

ワールド

IAEA、イランに濃縮ウラン巡る報告求める決議採択

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中