最新記事

韓国政治

韓国検察vs文政権バトルの主役が次期大統領の有力候補に?

2020年11月27日(金)17時15分
ミッチ・シン

尹錫悦検事総長は世論調査で次期大統領の有力候補に躍り出た YONHAP NEWS/AFLO

<検察トップの尹錫悦に職務停止命令......検察改革をめぐる政争で検事総長にスポットライトが>

2022年に予定されている韓国次期大統領選の世論調査で3位に入った尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長が、秋美愛(チュ・ミエ)法相を含む与党「共に民主党」関係者から退任を迫られている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が尹を任命した昨年から、最高検察庁と法務省は対立を続けてきた。(編集部注:24日、秋法相は尹検事総長の職務停止を命じた)

尹が率いる検察は文周辺の捜査に力を入れてきた。なかでも曺国(チョ・グク)前法相は、家族の不正入学など数々の疑惑で検察の厳しい追及の対象となった。曺は捜査と起訴の両方の権限を与えられた検察の改革に取り組む文政権の象徴的存在だ。

尹は10月に国会で「自分は法相の部下ではない」と発言。両者の関係はさらに悪化した。2020年初めに可決した検察庁法改正案によれば、法相は明らかに検事総長の上司だ。

だが最大野党「国民の力」の金雄(キム・ウン)議員(検察出身)は中央日報に対し、同法の規定はあくまで「職務分類」のためのものであり、「検事総長が法相の部下だという考えは封建主義だ」と語った。

検察は政治から独立した立場で事件を適切に捜査すべきだ、という意見が一部にあるのは確かだ。最高検察庁を法務省の下部組織と見なすことは、検察の「政治化」につながる可能性がある。

一方、高麗大学法学大学院の河泰勲(ハ・テフン)教授は、検事総長は制度的に法相の管轄下にあると聯合通信に語った。「検察庁法は、特定の事件について法相が検事総長を指揮監督すると明記している」

韓国の検察は長年、巨大な権力を振るっていた。その理由の1つは、日本統治時代の刑事制度にある。日本は1808年に制定されたフランスの刑事訴訟法に基づいて刑事司法制度を確立したが、その後日本の検察は権限を拡大し続けた。それが韓国の検察にも影響を与えている。

1954年の刑事訴訟法制定後、韓国の検察は権力を乱用し、強制捜査による人権侵害が多発。そのため韓国では、60年以上前から検察改革が求められていた。

そこで韓国国会は2020年1月、検察と警察の捜査権を見直す法案を可決した。刑事訴訟法と検察庁法の改正を含む新法案によれば、検察の捜査指揮権が廃止され、警察の裁量権が拡大される。

加えて与党・共に民主党と政府は、これまで違法行為があっても起訴を免れることが多かった検察官や裁判官などを処罰する高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を設置する法案も提出していた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アンソロピックが追加サービス公表、外部主要ソフトと

ワールド

米政権、10%の代替関税発動 15%への引き上げ方

ワールド

アンソロピック、AI軍事利用の制限緩和しない意向=

ワールド

米国務省、ロシア攻撃で米の利益損なわないよう警告 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中