最新記事

アメリカ社会

トランプが残したデマ地獄で「Qアノン」が共和党を乗っ取る日

QAnon Believers Have Lost Their Savior, But Their Power is Growing

2020年11月13日(金)18時40分
イワン・パーマー

「Qアノンがトランプと共にいなくなるとは思わない」と、ライト・ウィング・ウォッチ(市民の社会参加を促す団体「People For American Way」が展開する右派監視プロジェクト)の編集者アデル・M・スタンは本誌に語った。スタンは調査会社ユーガブによる最近の調査を引き合いに出し、「共和党支持者の半数は、小児性愛者の秘密結社があるというQアノンの陰謀論を信じ、これから誕生するのは、小児性愛者が大勢いる違法な政府だと信じている」と言う。「政府に対する信頼を回復するには、長い時間がかかるだろう」

Qアノンの陰謀論の根底にある信念もまた、生き延びるだろう。Qアノンがこの数カ月、ネット上や世界各地での集会で訴えているのが、「セーブ・ザ・チルドレン(子どもたちを救え)」という新たなスローガンだ。Qアノンの提唱する「サタン崇拝の人喰い小児性愛者たち」という過激な主張を知らない人々が、子どもを救おうというこの一見罪のないスローガンに引き寄せられる可能性はある。

そのうえQアノンは今や、怪しげな匿名掲示板上の存在から米議会に進出した。2人のQアノン支持者が連邦下院選で当選したのだ<関連記事参照>。

暴力やテロにも発展しかねない

スタンは、Qアノンの台頭とトランプがもたらした風潮は、将来の共和党の姿を形作ることになるかもしれないと言う。

「彼らは共和党内で力を築きつつある」と、スタンは言う。「1970年代後半から1980年代に宗教右派が使った手だ」

「共和党は常に、何かの勢力に支配されてきた。Qアノンもそういう存在になる」

Qアノンの陰謀論が政治の主流になっていけば、暴力やテロに発展するかもしれないとスタンは言う。

「Qアノンは、民主党とハリウッドの幹部すべてを殺せと呼び掛けている。彼らはみんな小児性愛者で子どもを密売している、というのがQアノンの主張だからだ。民主党とハリウッドの幹部というだけでみな、悪魔なのだ」

トランプは、デマがまかり通る地獄のような光景を生み出した。それに暴力的な集団が心酔し、アメリカは混沌のなかに残された、とスタンは言う。唯一の希望は、十分多くのアメリカ人が「いい加減にしろ」と立ち上がるまでバイデンがデマに抵抗してくれることだが。

ニューズウィーク日本版 AI兵士の新しい戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月13号(1月6日発売)は「AI兵士の新しい戦争」特集。ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米雇用統計予想下回る 円は

ワールド

米、ベネズエラと連携し石油タンカー拿捕=トランプ氏

ビジネス

米国株式市場=S&P500過去最高値、ブロードコム

ワールド

韓国から無人機新たに飛来、北朝鮮が主張
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 8
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 9
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中