最新記事

アメリカ経済

アメリカ大統領選挙「トランプの政権移行阻止でコロナ死者増える恐れ」=バイデン

2020年11月17日(火)10時11分

米大統領選で勝利を確実にした民主党候補のバイデン前副大統領(左)は16日、企業と労働組合が結束することで米経済を立て直すことができるという考えを示した(2020年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)

米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は16日、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中で、大統領選での敗北を認めないトランプ大統領が政権移行を阻止し続ける場合には「死者がさらに増える恐れがある」と語った。

その上で、議会には、与野党が協力し、大統領選の前から協議が行き詰まっている追加のコロナ経済対策法案を可決するよう要請した。

バイデン氏はこの日、副大統領候補のハリス氏とともに、国内主要企業のトップらや労組の指導者らとオンライン形式で会談。その後に演説し、記者からの質問に応じた。

バイデン氏は、企業側も労組側もコロナ危機で打撃を受けた米経済の立て直しに向けて結束する意思を示したと述べた上で、まずは感染の抑制が最優先課題だと強調。

「われわれは非常に暗い冬に突入しようとしており、(コロナを巡る)状況ははるかに厳しくなるだろう」と警告した。

バイデン氏は、トランプ政権に対し、感染抑制に向けて自身の政権移行チームと協力するようあらためて要請。「政権移行がうまくいかなければ、死者がさらに増える恐れがある」と述べた。

一方で、トランプ氏が敗北を認めなくとも政権移行の取り組みは進んでいると強調した。

経済政策については、企業が相応の税金を納める「より公平な税制」の構築を目指すとし、連邦最低賃金を1時間あたり15ドルに引き上げたい考えを表明。また、米国内で生産しない企業とは政府契約を結ばないと述べた。

バイデン氏らとの会談には、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のバーラ最高経営責任者(CEO)、マイクロソフトのナデラCEO、小売大手ターゲットのコーネルCEO、衣料小売ギャップのシンガルCEO、米労働総同盟・産別会議(AFL─CIO)のトラムカ会長、米国際サービス従業員労組(SEIU)、全米自動車労組(UAW)のトップらが参加した。

バイデン氏は、米製薬大手ファイザーに続き、米モデルナも開発中の新型コロナワクチンが高い予防効果を発揮したと発表したことについて、新型コロナとの闘いにとって朗報と評価した。

これらの新たなワクチンの接種を自身も受けるかと記者に問われると、バイデン氏は接種に前向きな考えを示した。

バイデン氏はまた、国民に対し、来週の感謝祭連休で集まる人数を限定するよう呼び掛け、対人距離の確保とマスクの着用を奨励した。

オブライエン大統領補佐官(安全保障担当)は16日、大統領選で民主党のバイデン氏が勝利した「公算が明らかに大きいように見える」とし、バイデン氏への円滑な政権移行を確約すると述べた。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、2.7万件減の19.1万件 3

ワールド

米メタ、メタバース事業の予算を最大30%削減との報

ワールド

トランプ氏、USMCA離脱を来年決定も─USTR代

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 8
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 9
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 10
    白血病細胞だけを狙い撃ち、殺傷力は2万倍...常識破…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中