最新記事

小惑星

11月13日、小惑星が地球に最も接近していた......

2020年11月24日(火)18時30分
松岡由希子

地球から国際宇宙ステーションと同じ距離だった...... Credit: ESA/P. Carril

<2020年11月13日、地球に最も近づいていたことが明らかとなった。これまでの記録を大幅に更新して地球に接近していた......>

ある小惑星が、2020年11月13日、地球に最も近づいていたことが明らかとなった。5〜10メートルの小さな地球近傍小惑星(NEA)「2020 VT4」は、同日17時21分(協定世界時)、南太平洋ピトケアン諸島近くの上空240マイル(約386キロ)を通過した。

これまでに最も地球に接近した小惑星は、約3000キロだった

これまでに最も地球に接近した小惑星は、2020年8月16日にインド洋南部の上空1830マイル(約2945キロ)を通過した「2020 QG」であり、「2020 VT4」は、この記録を大幅に更新したことになる。

「2020 VT4」は、地球に最接近した15時間後の11月14日早朝、ハワイ島のマウナロア観測所に設置されたATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)で初めてとらえられた。

ATLASは、掃天観測により地球近傍小天体(NEO)の地球への衝突を事前に検知する早期警告システムだが、「2020 VT4」のように太陽の死角から地球に向かって速移動する小惑星は珍しくない。

国際宇宙ステーションも約400キロ上空の軌道

「2020 VT4」が地球に最接近した時間帯は昼間であったため、地上で目撃されたとの報告は確認されていないが、豪州タスマニア島では、夜明けの空に3等級ほどの明るさで「2020 VT4」を観測できた可能性があるという。

「2020 VT4」の地球への最接近によって影響を受けた衛星は、現時点で確認されていない。平均約400キロ上空の軌道を周回している国際宇宙ステーション(ISS)は、「2020 VT4」の最接近時、南大西洋上空に位置しており、影響はなかった。

「2020 VT4」の軌道は、地球への接近により大きく変わった。「2020 VT4」は従来、黄道に対して13度傾き、太陽の周りを549日の周期で公転していたが、地球に最接近した後は、公転周期が315日となり、黄道への傾きが10.2度となった。

Asteroid2020VT4-e1605528797433.jpg

2020 VT4の軌道 Credit: NASA/JPL

次に接近するのは2052年

次回「2020 VT4」が地球に最接近するのは2052年11月13日11時6分で、その距離は、今回の最接近よりもはるかに遠い0.02AU(約299万キロ)となる見込みだ。

Fly-by Asteroide 2020 VT4

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 5
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中