米大統領選、中高年がコロナ失策でトランプ離れ 重要支持基盤に「黄信号」
トランプ米大統領が2016年の選挙で勝利を果たした際に重要な支持基盤となった中高年層が、新型コロナウイルスのパンデミックとともにトランプ氏から離れつつあることが、ロイター/イプソスの世論調査データで明らかになった。写真は3日、フロリダ州フォート・ローダーデールで撮影したトランプ氏の支持者(2020年 ロイター/Marco Bello)
トランプ米大統領が2016年の選挙で勝利を果たした際に重要な支持基盤となった中高年層が、新型コロナウイルスのパンデミックとともにトランプ氏から離れつつあることが、ロイター/イプソスの世論調査データで明らかになった。
9月と10月のロイター/イプソス全国調査によると、55歳以上の有権者の大統領候補支持率はトランプ氏が46%、民主党のバイデン前副大統領が47%とほぼ拮抗。投票日まであと3週間となった今も、有権者全体の支持率でバイデン氏に水をあけられているトランプ氏の再選に暗雲が垂れ込めている。
共和党は何年も前から全米レベルの選挙で中高年の支持を頼りにしてきており、実際彼らの投票率の高さの恩恵に浴してきた。例えば16年の出口調査に基づくと、トランプ氏は55歳以上の得票率で13%ポイントのリードを奪い、12年の大統領選でも共和党候補のミット・ロムニー氏が同様の成績を残した。
ところが今回、有権者に占める中高年の割合が際立って大きい幾つかの激戦州を見ると、バイデン氏の支持率は16年当時の民主党候補ヒラリー・クリントン氏よりもずっと高い。例えば9月半ばと10月上旬に行った州単位の調査では、ウィスコンシンでバイデン氏の支持率がトランプ氏を10%ポイント上回ったほか、ペンシルベニア、ミシガン、フロリダ、アリゾナで両氏が互角の争いだった。4年前は、トランプ氏の得票率がこの全ての州でクリントン氏より10-29%ポイントも高かった状況が大きく変化した形だ。
こうした調査によると、これら5州の中高年有権者の半数は、米国内で新型コロナ感染者と死者が多数に上った責任について、トランプ氏の政治指導力のなさと政策判断のまずさにあるとの見方を示した。
アリゾナ州に住む共和党員で、16年にトランプ氏に投票したランディ・ロードさん(59)は、トランプ氏がコロナ予防のために消毒液を飲んではどうかなどと示唆したことに失望を隠さず、コロナに関して「現在発言しているようなことは本来言うべきでない」と批判する。ロードさんは、トランプ氏がオバマケア(医療保険改革法)廃止をうたいながら、それで困る人たちを放置しようとする姿勢にも懸念を示した。今回誰に投票するかまだ決めていないが、「彼には4年間、対策をまとめる時間があったのに何もしなかった」と憤まんやる方ない様子だ。