米大統領選、中高年がコロナ失策でトランプ離れ 重要支持基盤に「黄信号」
挽回策が急務
今週のロイター/イプソス全国調査では、トランプ氏の新型コロナ対応を支持しないと答えた人は全体の61%と、5月から12%ポイントも増加した一方、対応に肯定的な評価をした人の割合はロイターが調査を開始した3月上旬以降で最低を記録した。また高齢者の83%が、新型コロナが自分の健康や安全にもたらす脅威に不安を感じていると答えた。
共和党のストラテジスト、アレックス・コナント氏も「高齢者は若者よりも新型コロナに対する懸念がずっと大きい」と認める。
トランプ氏の選対陣営も手をこまねいているわけではなく、先週にはフロリダ州中部の保守的な退職者コミュニティー、ザ・ビレッジズにペンス副大統領を派遣。トランプ氏も8日、高齢者向けに動画メッセージを配信し、彼らを「世界中で最も大好きな人たち」と呼ぶとともに、新たな治療薬を無料で提供するという約束もした。
陣営側は、トランプ氏が昨年、メディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険)の拡充を狙った大統領令に署名した点も強調する。広報担当者は「大統領と政権は引き続き、わが国の高齢者を含めた一番弱い立場の市民を守ることに専念している」と述べた。
バイデン氏も、特にアリゾナとフロリダで中高年に直接的な働き掛けを続けている。例えば同氏の陣営は、パンデミックのために孫に会えないフロリダ州の老夫婦というストーリーの広告や、社会保障を充当する給与税の廃止をトランプ氏がほのめかしていると力説する広告を展開中だ。
共和党側のコナント氏は、トランプ氏が中高年の支持を取り戻す方策を早急に見つけ出す必要があると指摘し、中高年有権者の強力な支持がなければ当選はおぼつかなくなる、と警鐘を鳴らした。
(Chris Kahn記者 James Oliphant記者)
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