最新記事

2020米大統領選

米大統領選、中高年がコロナ失策でトランプ離れ 重要支持基盤に「黄信号」

2020年10月15日(木)18時55分

トランプ米大統領が2016年の選挙で勝利を果たした際に重要な支持基盤となった中高年層が、新型コロナウイルスのパンデミックとともにトランプ氏から離れつつあることが、ロイター/イプソスの世論調査データで明らかになった。写真は3日、フロリダ州フォート・ローダーデールで撮影したトランプ氏の支持者(2020年 ロイター/Marco Bello)

トランプ米大統領が2016年の選挙で勝利を果たした際に重要な支持基盤となった中高年層が、新型コロナウイルスのパンデミックとともにトランプ氏から離れつつあることが、ロイター/イプソスの世論調査データで明らかになった。

9月と10月のロイター/イプソス全国調査によると、55歳以上の有権者の大統領候補支持率はトランプ氏が46%、民主党のバイデン前副大統領が47%とほぼ拮抗。投票日まであと3週間となった今も、有権者全体の支持率でバイデン氏に水をあけられているトランプ氏の再選に暗雲が垂れ込めている。

共和党は何年も前から全米レベルの選挙で中高年の支持を頼りにしてきており、実際彼らの投票率の高さの恩恵に浴してきた。例えば16年の出口調査に基づくと、トランプ氏は55歳以上の得票率で13%ポイントのリードを奪い、12年の大統領選でも共和党候補のミット・ロムニー氏が同様の成績を残した。

ところが今回、有権者に占める中高年の割合が際立って大きい幾つかの激戦州を見ると、バイデン氏の支持率は16年当時の民主党候補ヒラリー・クリントン氏よりもずっと高い。例えば9月半ばと10月上旬に行った州単位の調査では、ウィスコンシンでバイデン氏の支持率がトランプ氏を10%ポイント上回ったほか、ペンシルベニア、ミシガン、フロリダ、アリゾナで両氏が互角の争いだった。4年前は、トランプ氏の得票率がこの全ての州でクリントン氏より10-29%ポイントも高かった状況が大きく変化した形だ。

こうした調査によると、これら5州の中高年有権者の半数は、米国内で新型コロナ感染者と死者が多数に上った責任について、トランプ氏の政治指導力のなさと政策判断のまずさにあるとの見方を示した。

アリゾナ州に住む共和党員で、16年にトランプ氏に投票したランディ・ロードさん(59)は、トランプ氏がコロナ予防のために消毒液を飲んではどうかなどと示唆したことに失望を隠さず、コロナに関して「現在発言しているようなことは本来言うべきでない」と批判する。ロードさんは、トランプ氏がオバマケア(医療保険改革法)廃止をうたいながら、それで困る人たちを放置しようとする姿勢にも懸念を示した。今回誰に投票するかまだ決めていないが、「彼には4年間、対策をまとめる時間があったのに何もしなかった」と憤まんやる方ない様子だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中