最新記事

飲食店

コロナ第3波で冬を迎える米国、シカゴの飲食店ではこたつが救世主に?

2020年10月28日(水)17時00分
松丸さとみ

提案書の中でヘンダーソンさんは、こたつを「日本のほぼどの家庭にもある」と説明。「(こたつを)経験したことがある人なら、暖かく居心地よく寒い時期を過ごすための忘れられない方法である、と断言できるはず」と書いている。

提案書ではさらに、日本での様子と思われる、屋外でこたつが使われている実際の画像を複数枚掲載し、使用例が示されている。また店舗の形態によって、コーヒー・テーブルや通常のダイニング・テーブルの形にするなどの選択肢も挙げている。

ヘンダーソンさんは、「こたつは日本で簡単に購入できる」とした上で、レストランなどがコストを抑えるために既存のテーブルをこたつに作り変えることも可能だとして、安全に作り変える方法を示す動画を作ることも提案している。

既存のテーブルなどを利用できることに加え、ヒートランプなどと違ってこたつの中に暖かさが密閉されるために、電気代の面でも経済的だと説明している。また、欧米ではほとんどしない「床に座っての食事」によって、他の文化を体験でき、好奇心をそそる新しい経験になるとしている。

Kotatsu Table build


冬のシカゴ、こたつで食事がもうすぐ実現

ヘンダーソンさん以外では、アトランタに拠点を置くデザイン会社ASD | SKYの提案による「Cozy Cabin」(快適なキャビン)と、デザイナーでありノースウェスタン大学で非常勤教授も務めるニール・ラインデルさんの「Block Party」(ブロック・パーティ)が入賞した。

「Cozy Cabin」は、通常の駐車場に展開できる、モジュール組み立て式の小型キャビンで、穴釣りの際に使われる小屋をイメージしたという。「Block Party」は、四角い枠型をした2人用のブロック型モジュールを基本として、これをつなげることで対応人数を増やせるというものだ。

受賞者3人には、賞金5000ドル(約52万1000円)が授与される。この後、イリノイ・レストラン協会が地元の建築業者を使い、入賞した作品が実際の形になった「プロトタイプ」を作成する。出来上がったプロトタイプは、シカゴを拠点とするBMOハリス銀行の資金提供により、シカゴの一部飲食店で今後数週間にわたりテストされる。つまりこの冬はシカゴで、こたつで暖を取りながら食事をする人たちの姿が見られることになる。

シカゴ市では今回、「ウィンター・デザイン・チャレンジ」に合わせ、フードデリバリーサービス企業ドアダッシュからの資金援助を取り付け、飲食店が防寒対策を施せるよう1店舗当たり5000ドルの助成金を用意した。この助成金は、暖房設備の改善や顧客用のひざ掛けを大量購入するなど屋外での食事に向けた設備拡充の他、エア・フィルター・システムの改善といった屋内で食事をする場合のコロナ感染対策にも使用することができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トヨタ、23年度は世界販売・生産が過去最高 HV好

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の

ワールド

東南アジア4カ国からの太陽光パネルに米の関税発動要

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時700円超安 前日の上げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中