最新記事

世界経済

コロナ禍で来年末までに世界の1.4%が極貧となる可能性=世界銀行

2020年10月8日(木)10時55分

世界銀行は、隔年リポート「貧困と繁栄の共有」を発表し、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)により、2021年末までに1億5000万人が極度の貧困に陥る可能性があるとの見解を示した。写真はニューデリー4月、新型コロナウイルス感染拡大で建設工事が停止され、居住施設で休む日雇い労働者(2020年 ロイターAdnan Abidi)

世界銀行は7日、隔年リポート「貧困と繁栄の共有」を発表し、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)により、2021年末までに1億5000万人が極度の貧困に陥る可能性があるとの見解を示した。そうなれば、過去3年以上にわたる貧困撲滅努力が無に帰すことになる。

リポートは、今年中に1日の生活費が1.90ドルを下回る極貧人口が8800万─1億1500万人増加すると推定。2021年には、その人口はさらに1億1100万から1億5000万人に膨れ上がる可能性があるとしている。

予想の通りになれば、今年極貧状態に陥る人口は世界全体の9.1─9.4%となり、2017年の9.2%とほぼ同水準となる。その場合、約20年間で初めて極貧率が上昇することになる。

2019年の極貧率は推定8.4%程度で、新型コロナウイルス感染拡大前には、2021年までに7.5%に低下すると予想されていた。

リポートは、迅速かつ持続的な政策が講じられなければ、2030年までに極貧率を3%に抑制する長期目標は達成不可能になるとみられるとした。

世銀のマルパス総裁は声明で、「新型コロナと世界的な景気後退(リセッション)により、世界人口の1.4%が極貧状態に陥る可能性がある」と指摘。「これは開発の進展と貧困撲滅における深刻な後退だ」と警告した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、南ア・印・ブラジル首脳と相次ぎ電話協議

ワールド

中欧向けロシア原油が輸送停止、ウクライナが輸送管攻

ワールド

トランプ氏「紛争止めるため、追及はせず」、ゼレンス

ワールド

中国首相、消費促進と住宅市場の安定を強調 経済成長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    あまりの猛暑に英国紳士も「スーツは自殺行為」...男…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中