最新記事

後遺症

新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する?

COVID Can Age the Brain by a Decade, Study Suggests

2020年10月28日(水)17時55分
カシュミラ・ガンダー

新型コロナウイウルスの感染で損傷を受けた脳の3Dイメージ Amornrat Phuchom/iStock

<新型コロナ感染症にかかった人の脳は、最高で10歳も老化し、高度な思考力が目に見えて減退する可能性があるという恐るべき研究結果が発表された>

新型コロナウイルス感染症にかかった人は、脳が最高で10年も老化する可能性があるという研究結果が発表された。

この研究はイギリスで行われたもので、新型コロナウイルス感染症(未確認症例含む)から完治した8万4000人以上の元患者に対して、思考能力をテストした。研究結果は専門家の検討前に医学系論文を事前公開するサイト「medRxiv」に掲載されている。学術誌での発表に必要な厳格な査読プロセスを経ていないため、この結果は慎重に受けとめる必要がある。

研究の参加者は、いずれも新型コロナウイルスの感染が確認されたか、あるいは感染が疑われた経験があると答えた人々で、症状が続いた期間、重症度、基礎疾患の有無といった質問に答えた。また、問題解決能力、空間記憶力、注意力、感情の調節能力などを測定するテストを受けた。

思考力テストの結果は、比較対象のため、新型コロナに感染したことのない人々のテスト結果と比較された。すると、新型コロナ感染症の元患者は、非感染者よりも認知力テストの成績が悪いことがわかった

新型コロナと認知力低下の関連性は、重症者のほうが大きかったが、症状が軽かったケースでも関連があることは明らかだった。この研究では、呼吸障害のなかった患者は軽症と定義している。

重症者ほど思考力が低下

この研究で明らかになったのは、高次の認知といわれる能力に、特に目立つ後遺症が見られることだ。

元患者の注意力、論理的思考力、特に口頭で論理的思考力を展開する能力について、研究論文の共同執筆者である英インペリアル・カレッジ・ロンドン脳科学部のアダム・ハンプシャーが本誌に語った。

入院し、呼吸器の症状が深刻化して人工呼吸器をつけた20〜70歳の元患者の思考力は、平均で10歳年上の人のレベルにまで減退していた。

認知障害との関連性が高い重要な予測因子は、呼吸器症状の重症度と感染の有無だけだった、とハンプシャーは本誌に語った。既往症の有無といった他の条件は、発見された傾向を説明する要素にならなかったと、彼は言う。

今回の研究データは「新型コロナ感染が慢性的な認知力の低下という後遺症をもたらす可能性がある」ことを示唆していると、研究チームは述べている。また、新型コロナ感染症から回復した後で、脳卒中や免疫系の過剰反応および炎症などの合併症に起因する神経学的な問題が生じる可能性を示す研究が数多く行われている点も指摘した。

「これらの結果は、新型コロナ感染症を乗り越えた人々に起こりうる認知障害の原因をさらにくわしく研究する必要性を訴えるものだ」と、論文の執筆者らは書いている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

2月企業向けサービス価格、前年比2.7%上昇 前月

ビジネス

米ジェフリーズ、12-2月利益は予想下回る 与信関

ワールド

米主要空港、検査待ち4時間超えも 保安職員の辞職4

ビジネス

中国、メキシコの関税引き上げに報復の権利あると表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中