最新記事

感染症

新型コロナは「中国病」どころかアメリカ病だ

U.S. Imported Over 30,000 Bat Body Parts From China in Five Years

2020年9月30日(水)17時10分
アリストス・ジョージャウ

アメリカが輸入するコウモリと霊長類の最大の供給源になっているのが、新型コロナウイルスの発生地とされる中国だ。全体として見ると、アメリカの輸入は、世界の野生生物市場のおよそ20%を占めている。

「特に懸念されるのは、そうした輸入された野生生物製品の多くが、くだらない商品であることだ」とサネリブは本誌に述べた。「われわれはコウモリを使ったペーパーウェイトやちょっとした装飾品のために、動物を野生から引き離し、さらなるパンデミックのリスクを高めている」

「この輸入実態を見れば、新型コロナウイルスのパンデミックに関して、アメリカが他国を責められる立場にないのは明らかだ。私たちは、人獣共通感染症の危険と、野生動物の絶滅のリスクを抑制するために役割を果たさなければならない。その手始めが、この破壊的な野生生物の輸入を終わらせることだ。自然を搾取し続ければ必ず良くない影響がある」

報告書の著者らによれば、野生動物やその製品に対するアメリカの商業的な需要は、全世界における野生生物の搾取と売買を促進する最大要因のひとつになっているという。

「野生生物の売買は、動物種にストレスを与えながら、普通なら近くにいない動物種同士を接触させることにつながる。そうすることで、新たな感染症が出現して人間に感染する絶好の条件を生み出している」と、著者らは報告書に書いている。

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>新型コロナウイルスはコウモリ由来? だとしても、悪いのは中国人の「ゲテモノ食い」ではない
<参考記事>新型コロナウイルスを媒介したかもしれない「センザンコウ」って何?

20201006issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月6日号(9月29日発売)は「感染症vs国家」特集。新型コロナに最も正しく対応した国は? 各国の成功例と失敗例に学ぶ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウォラーFRB理事、入手可能なデータは雇用低迷示唆

ビジネス

ミランFRB理事、来年の成長は米中緊張の行方次第

ワールド

イスラエルとハマス、合意違反と非難応酬 ラファ検問

ビジネス

ABB、AIデータセンター向け事業好調 米新規受注
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中