最新記事

アゼルバイジャン

アゼルバイジャンとアルメニア、軍事衝突の背景とは

2020年9月29日(火)12時25分

アルメニア人勢力が実効支配するアゼルバイジャン南部ナゴルノカラバフ自治州で、両国軍が衝突した。写真は2016年4月、ナゴルノカラバフの境界線付近に配置された火器(2020年 ロイター)

アルメニア人勢力が実効支配するアゼルバイジャン南部ナゴルノカラバフ自治州で、両国軍が衝突した。数十年来の係争地において危険な戦闘が再開した格好だ。

◎ナゴルノカラバフとは

旧ソ連アゼルバイジャン領土内の山岳地帯にある、森林に覆われた一角。国際法で同国の一部と認められている。しかし同自治州の推定人口15万人の大半を占めるアルメニア人は、アゼルバイジャンによる支配を拒否している。

1990年代の戦闘でアゼルバイジャン軍が撃退されて以降、アルメニア人勢力がアルメニアの支援を得て自治を行っている。1994年の停戦合意にもかかわらず、2016年にも少なくとも200人が死亡した。同自治州の財源はアルメニアからの支援と、世界に離散するアルメニア人からの寄付にほぼ全面的に頼っている。

◎なぜ今、戦闘が勃発したのか

緊張は夏から徐々に高まっており、9月27日に直接衝突へと発展した。衝突のタイミングは重要だ。過去に仲裁に当たったロシア、フランス、米国などの大国が現在、新型コロナウイルス感染症、米大統領選、レバノンからベラルーシに至る数々の世界危機への対応に忙殺されているからだ。

7月に低いレベルで衝突が起こった際、国際社会の反応は薄かった。7、8月にアゼルバイジャンと大規模な軍事演習を実施したトルコは、過去の危機に比べても目立った支援を打ち出している。トルコのエルドアン大統領は28日、「資源と心のすべてで」アゼルバイジャンを支持すると表明した。

トルコがアゼルバイジャンに対し、軍事専門家やドローン、戦闘機などを提供しているかどうかには直接言及しなかった。アルメニアはトルコがこれらを提供していると主張し、アゼルバイジャンは否定している。

◎リスクは

アルメニア人が同自治州のアルメニア編入を要求した1988年以降、戦闘で約3万人が死亡している。直近の衝突では既に数十人が死亡し、数百人が負傷。

専門家は28日、ロケットや大砲など大型兵器の展開が増えていると指摘し、これにより民間人が犠牲になるリスクが高まっており、双方ともに全面戦争の回避が難しくなると警告した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランへの攻撃「2週間停止で合意」、トランプ氏が表

ビジネス

EIA、ブレント原油「第2四半期に115ドルでピー

ビジネス

雇用とインフレ双方にリスク=ジェファーソンFRB副

ワールド

ロシアがイランを水面下で支援 衛星画像提供やサイバ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 5
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 6
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 7
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 8
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 9
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 10
    「人間の本性」を見た裁判官が語った、自らの「毒親…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中