最新記事

新型コロナウイルス

死亡率でアメリカを上回る欧州にコロナ第2波の予感

Europe Set for Surge in Coronavirus Deaths As Spain, U.K., Italy Now Deadlier Than U.S.

2020年9月16日(水)17時40分
スー・キム

新型コロナウイルス流行のなか、バーに集うロンドンの人々(20年7月4日)。Henry Nicholls-REUTERS

<現在、欧州の新型コロナによる一日あたり死亡者数が横這いになっているが、冬に向けての第2波で死者数が増加する、WHOは警告している>

ヨーロッパの新型コロナウイルスによる死亡者数は9月15日の時点で22万5900人に近づいている。そして10月、11月には死亡者の数が増加する恐れがある、とWHO(世界保健機関)は警告した。

欧州では感染拡大の第2波に対する恐れは消え去っていない。「厳しい状況になるだろう。10月、11月には、今よりも死者の数が多くなるだろう」と、WHOの欧州担当ディレクター、ハンス・クルーゲ博士は14日にAFPに語った。

クルーゲの警告の翌日にあたる15日にWHOが発表したデータによると、スペイン、イギリス、イタリアを含む欧州諸国の人口100万人当たりの死者数は、アメリカよりも(100万人あたり583.44人)より多い。

100万人当たりの新型コロナウイウルス感染症による死者数のトップ12カ国のうちヨーロッパの国は半分を占める。スペイン、イタリア、イギリス、ベルギー、アンドラ公国(フランスとスペインの間にあるミニ国家)とサンマリノ共和国(イタリアのなかにある小国)だ。

アメリカは世界で最も死者数が多いが、人口100万人あたりの死者数では、南米(ペルー、ブラジル、チリ、ボリビア、エクアドル)の5カ国を含む11カ国よりも少ない。

8月から死者数は上昇

アメリカでは1日あたりの死者数の7日平均が4月下旬から7月上旬にかけて減少し、8月上旬からゆっくりと増加に転じた。人口統計の専門サイト、ワールドメーターがまとめたデータによると、9月以降の1日の平均死亡者数は、ほぼ減少している。

100万人当たりの新型コロナウイルスによる死者が多い国
(WHO、9月15日時点)
サンマリノ: 1237.55人
ペルー: 931.34人
ベルギー: 856.37人
アンドラ: 685.95人
スペイン: 636.23人
ボリビア: 629.14人
チリ: 628.42人
ブラジル: 619.24人
エクアドル: 619.05人
イギリス: 613.2人
イタリア: 588.97人
アメリカ: 583.44人

europevsus.png
アメリカ(赤線)とヨーロッパ(青線)の新規感染者数はもうすぐ逆転する勢い

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中