最新記事

環境

モーリシャス「わかしお」座礁事故 マングローブ林の油除去を本格化へ

2020年8月18日(火)18時37分

インド洋モーリシャス沖で起きた貨物船「わかしお」の座礁事故は、海上の油はほぼ回収が終わり、マングローブや湿地帯に入り込んだ油の除去作業を本格化させる段階に入った。(2020年8月13日、モーリシャスで撮影、 ロイター/Reuben Pillay )

インド洋モーリシャス沖で起きた貨物船「わかしお」の座礁事故は、海上の油はほぼ回収が終わり、マングローブや湿地帯に入り込んだ油の除去作業を本格化させる段階に入った。現地で活動する日本の緊急援助隊が18日、インターネットで記者会見して明らかにした。

武智敬司副団長(海上保安庁警備救難部環境防災課)は、「今後はマングローブに入り込んだ油の撤去作業に入る」と説明。入り組んだ林に漂着した油を回収する難しい作業が求められることから、専門家の意見をもとに、環境への影響を最小限に抑えながら進める考えを示した。

胡摩窪淳志団長(外務省大臣官房在外公館課)は、地元住民らに与える影響に加え、「環境の回復を長期的に10年、20年、あるいは30年スパンで見てどう対処していくか」を評価しながら作業していく必要があると述べた。

わかしおは7月25日に座礁。船体に亀裂が入り、1000トン超の燃料が海に流出した。油は海上を漂流、陸地にも流れ着き、希少な自然を生かした観光産業に依存するモーリシャス政府は、緊急事態宣言を出した。

残りの燃料はわかしおのタンクから抜き取られたものの、8月中旬に船体が2つに分断。さらなる被害の拡大が懸念されたが、武智副団長によると、追加の油流出は小規模にとどまるという。

日本政府が派遣した国際緊急援助隊6人は11日にモーリシャスに到着。12日から油の流出状況の調査や油撤去作業などの支援活動をしている。

外務省は17日、国際緊急援助隊の2次隊を現地に派遣すると発表した。計7人で構成される2次隊は、19日に日本を出発し活動中の6人と交代する。

わかしおは長鋪(ながしき)汽船が所有する大型ばら積み船。商船三井 <9104.T>がチャーターし、中国からシンガポールを経由してブラジルに向かう途中だった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ基調指標、10月の刈り込み平均値は前年比2

ワールド

米民主党上院議員、核実験を再開しないようトランプ氏

ビジネス

ノボノルディスクの次世代肥満症薬、中間試験で良好な

ワールド

トランプ氏、オバマケア補助金延長に反対も「何らかの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中